HIP「伏見の未来、華~puspa~」

うまれ育った京都・伏見の未来へ、華を、笑顔を届けたい。

伏見に、世界一の姉妹タップダンサーがいる。姉の中西浄華(きよか)と3つ下の妹、優華(ゆうか)。なぜ、タップなの? なぜ、ずっと伏見にこだわるの? 京都から飛び出したいと思ったことは? 伏見から世界に挑戦し続ける、華〜puspa〜。若きふたりの才能に迫ります。

写真/馬場健太 文/高橋マキ

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ーーまずは、ふたりとタップの出会いを教えてください。

浄華:タップの前に、ジャズダンスを習っていたんです。当時では珍しいのですが、「いろんなダンスを学びなさい」というのがそのスクールの先生の指導方針だったんですね。とくにわたしは強化メンバーとしていろんなことをやらせてもらっていて、ある日、先生から「今日からタップやで」と言われて始めた、という感じでした。ダンスの前は、体操クラブや劇団に通っていたんですが、親いわく、ほかのなによりダンスがいちばん楽しそうだった、というのが理由みたいです。だからタップを始めたのは、じぶんの意思といより、先生の導きですね。

優華:以来、いままでずっとそのジャズダンサー、吉田千佳子先生に師事しています。

 

ーー浄華は4歳、優華は3歳から、ということでかなり小さな頃からダンスを始めてますね。

優華:なんでかな? わたしは、お姉ちゃんがやってたからかな。笑

浄華:祖父が社交ダンス、祖母が日本舞踊をやっていたりしたのもあるんかなあ。父と母も、プロではないけれど、バンドサークルで出会ってるんです。だから、いつも楽器があったし、表現することは好きな家族なのかもしれませんね。

優華:3歳の初舞台のことも、全然記憶にない。

浄華:周りにいろいろ言われるばっかりやんね。「立派にセンター張ってたで」とか「後ろの子のことまで気にしてたで」「あの頃からしっかりしてたわー」とか(笑)。

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ーー25歳と21歳。いまのふたりの環境は?

浄華:3年前に同志社大学英文学科を卒業して、いまはダンスだけでやってます。就職しないことをじぶんで選んだというよりも、周りから背中を押してもらったというほうが正しいのですが…。puspaのショーのほかに、プライベートレッスンなどを行っています。

優華:わたしはまだ4回生。同志社大学英文学科に在学中ですが、姉と同じ道に進もうと思っています。

 

ーーダンサーとして生きていくことに、不安はない?

浄華:学生という肩書きが取れただけで、やってることは同じかな。両親も、応援してくれていますし。

優華:人生の先輩=姉が、目の前にいるから、むしろ心強いかな。それより、まずは無事に卒業しなくちゃ(笑)。

浄華:不安がゼロとはいえないけれど、これしかできひんしね(笑)。

 

ーー大学では、どうして芸術系ではなく英文学科を選んだの?

浄華:最終目標はダンス、と決まった上で選びました。実は、2007年、高校2年生のときにいちど、アメリカの舞台に個人で参加したことがあったのですが、そのときに、ことばの壁にぶつかったんです。学校での英語の成績はよかったのに、文化の違いもあって、微妙なニュアンスが理解できない(笑)。テストの点数と、実用で「使う」ということは全然違うんやなぁと、そのときに痛感して。同志社大学が「力を使って、あなたはどうしますか?」ということを問う校風だったのもあって、直感で「ここだ!」と思いました。

 

ーー行ってよかった?

浄華:はい!2010年にもう一度アメリカに行ってるんですが、全然違いましたよ。日々の賜物ですね(笑)。このときほんとうに、勉強してよかったー!って実感しました。

優華:わたしも姉と同じ学部に。なにもかも姉と一緒だと、個性が出なくてよくないのかなと、何度か迷ったことはあったんですけど、一緒でなにがダメということもないし、ふたりの個性はいまも異なっているので、素直にじぶんの選択を大切にするようにしています。

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ーー姉妹デュオ、というところがpuspaの特徴のひとつだと思うのですが、ふたりで踊り始めた、結成のきっかけは?

浄華:北野武さんの「誰でもピカソ」(テレビ東京)というテレビ番組で、HIDEBOHさんがタップダンサーを募集していたんです。そこに姉妹タップデュオとしてビデオ応募したのがきっかけですね。それまではコンテストやステージにも出たことがなかったし、特別にタップも意識してなかったんですよ。

ーー HIDEBOさんはたしかその頃、北野武監督「座頭市」(2003年)での振付、出演で一躍注目を浴びましたよね。

浄華:そうです。ちょうど、2002年で、わたしが11歳、優華が8歳のとき。

優華:その後、諸事情でタップの企画自体がなくなっちゃって、テレビ出演は叶わなかったんですけれど、これがあったおかげで、姉妹デュオ「puspa」というカタチが生まれました。

浄華:それまでは、ふたりで踊るということもなかったもんね。だから、タップでやっていこう、デュオでやろうって決めたのは、このビデオ応募のあとかな。

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ーー日本のタップ人口ってそんなに多くないし、京都にいればなおさら、間近に一流のプロと出会う機会も少ないと思うのですが。

浄華:そうですね。ふつうはタップスタジオが入り口だと思うのですが、わたしたちがラッキーだったのは、通っていたダンススクールに、NY帰りのタップダンサーが、インストラクターとしていらっしゃったんです。

優華:だから、子どもだったわたしたちには、その先生=タップ。

浄華:先生が所属していらしたNYのタップカンパニーのビデオは、レッスンで何度も見せてもらいました。そのなかに登場する先生の師匠が、Brenda Bafalono(ブレンダ・バファリーノ)。彼女のダンス、作品をずっと見てきて、タップ界の革命児とも呼ばれるこのレジェンドを「タップそのもの」だと思って育ったんです。

優華:当時のわたしたちにとっては、ほとんど、それがすべてでしたね。

浄華:実は、そのブレンダさんが、5月に初来日されたので、東京までワークショップを受けに行ったんです。子どものころから画像の粗い、古いビデオを見ながら何回も何回練習した振り付けを、今、ご本人に直接指導いただいている!と思うと、もう10分ごとに泣きそうになりましたよね(笑)。

優華:うん、とても感動しました。

ーーその経験を経て、なにか変わりましたか?

浄華:ブレンダさんへの憧れや、タップダンスへの熱い思いというものがしっかりと再確認できました。

優華:なにかが大きく変わったというより、深く根底にあったものが再確認できた経験でしたね。

浄華:じぶんのダンスのなかに流れているルーツに、改めて出会ったような気分かな。少し薄れかけていた感覚のようなものも、取り戻せたような気がしています。お会いする前といまでは、全然、気持ちがちがいますね。

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puspa from beacon kyoto on Vimeo.

ーータップの本場、アメリカ、あるいはヨーロッパへ行って学びたい、活躍したいという思いは?

浄華:有名な方って、みなさん、地方から東京や海外に行かれてしまいますよね? それって憧れだけど、みなさん地元から離れてのご活躍なので、なんだか寂しいなってずっと思ってたんです。だから、拠点はずっと地元「伏見」というスタイルを模索したい。

優華:やっぱり、京都がいいなって思うし(笑)。

浄華:わたしたちが習ったタップの先生方も、NYで活躍したけれど帰国されたから、わたしたちの今がある。20年お世話になっているジャズダンスの師匠も同じで、一流の方が京都にスタジオを構えていらっしゃるというのがかっこいいって思うんです。

優華:勉強には行きたいけど、あくまでもベースは京都に置いていたいかな…。

浄華:京都が好きやから。笑。

 

ーー普段は京都にいて、たとえばNYのブルーノートからお呼びがかかるっていうのが、最高なのかもしれませんね(笑)。

浄華:それはほんとうに最高ですね(笑)。

優華:小さいときにずっと、家族やその周りの友だち、地域のひとたちの集う場所で踊っていたからかな。子どものころのわたしたちのテーマが「みんなに笑顔を届けたい」だったんです。だからかな、タップの楽しさを、見てほしい、届けたい「みんな」とは、わたしたちにとって、まずは「身近にいるひとたち」だと思うんですよ。

浄華:そうですね。じぶんたちはこんなに好きだけど、周りにはまだまだタップダンスを知らない、見たことがないというひとばかり。だから、もっともっと、知ってほしい、楽しんでほしい、と思っています。タップ界でメジャーになることにももちろん憧れはあるけれど、タップを知らないひとに届けたいという思いのほうが強いのかな、今は。

優華:これからも、わたしたちを育ててくれた、地域の活動にもっともっと参加していきたいよね。

浄華:そうそう。わたしたちがそうだったように、これからは、子どもたちにほんものを届けて、憧れを見せたりできるような、育てる側になっていけたらいいなって思っています。

 

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<プロフィール>

タップデュオ華~puspa~

京都生まれ京都育ちの世界一位 姉妹タップデュオ。浄華は4歳より、優華は3歳より、ジャズダンサー吉田吉田千佳子氏に師事。DO-ONE、Basement Studioにてタップを学ぶ。タップの他にも、DO-ONEにてあらゆるダンスを学び現在に至る。2002年結成以来、ジャンルを越えて全身で表現される独自のスタイルを追求している。2007年、本場ブロードウェイにて開催されるThe N.Y. City Tap Festivalユースコンサートにて、初の日本人チームとして合格・出演。タップの固定概念を覆す大胆な振付・繊細な足さばき・芸術性の高い演技は、観客からスタンディングオベーションを受け、著名ダンサーからも高く評価される。また、地元マスコミから絶賛を博す。また、Dance World Cup 2014 World Finals in Portugalに初挑戦。Open Duet/Trio Tap部門で優勝し、Tap部門日本人初の金メダリストとなった。これまでに、KTV「スーパーニュースANCHOR」MBS「ちちんぷいぷい」NHK「京いちにち」など数多くのTV・ラジオ番組に出演。数々の公演に出演する他、パーティーや、教育・福祉・アート・クラブ等各種イベントへのゲスト出演、市の式典への参加など、活動は多岐にわたる。躍動感あふれる華やかな演技は、年齢・文化・趣味・嗜好などの枠を越え、多数のファンを惹きつけてやまない。現在、Tap, Jazz, K-popのインストラクターとしても活躍。生徒の魅力を最大限引き出した振付が高い評価を得ている。地元でのWS開催や、教育機関での振付指導も手がけ、Tapの普及にも力を注ぐ。テクニック、表現力、パフォーマンス性、全てを兼ね備えた、今注目のタップデュオ「華~puspa~」。これからも、タップダンス本来の魅力と新たな可能性を広めるべく、幅広い活動を続ける。

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