WAGASHI「宇治名物、茶だんご食べ比べ!」

宇治のおみやげといえばコレ。さあ、あなたもお気に入りを見つけましょう。

写真/馬場健太 取材・文/高橋マキ

昨今の抹茶スイーツ熱も、なんのその。大きさも形もパッケージも、昔ながらのシンプルなたたずまいを変えることのない、まさに宇治みやげの「ド定番」。「おみやげ用には日持ちするのがいいわ」という声も聞こえてきそうだけれど、せっかくローカルを訪れたなら、手作りならではのおいしさを味わいたいというのが BEACON KYOTO スタイル。

とはいえ、宇治の商店街をそぞろ歩いてみれば、あちらにも茶だんご、こちらにも茶だんご。どれを買っていいのやら、てんで検討がつきません。そこで、朝、宇治まで出かけて5店舗で購入したできたての茶だんごを、京都のおだんごLOVERSに食べ比べてもらうことに。違いや発見は、あるのでしょうか。

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さて、こちらが今回の主役たち。食べ歩きならぬ、食べ歩かれに、いざ出陣。

《エピソード1》

まず向かった先は、西陣のお菓子工房。待ち受けていたのは、和菓子職人の杉山早陽子さん。ブランドに惑わされないように、銘柄を伏せて、並びの左から番号で呼んでもらいました。

杉山「ふふふ…、見つめすぎてブドウに見えてきました」

ーーいきなり、和菓子職人らしからぬコメントですが、大丈夫でしょうか。

杉山「ふふふ。じゃあ、まずは見た目から。色だけじゃなくて、大きさも全部違うんですね。カタチは ④ がキレイ。やっぱり、おだんごは丸くなくっちゃ。でも、食べるとなると、串に刺さってるほうが、うれしいかな。」

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杉山「では、左から順に食べてみます。でもね、実は私、茶だんご、食べ比べてみたことがあって。だから、いちばん好きなやつはもう決まってるんですよ。」

ーーエエッ!?

杉山「でも今回は、味だけじゃなくて歯ごたえも気になってきました。② と ⑤ は似ている気がするけど、⑤ がいちばん弾力がありますね。②は水分が多いような。だから、ふわふわして柔らかいのかな、と。」

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杉山「作り方はわからないけれど、おだんごは、練れば練るほど弾力がなくなるから、そこの手順に違いがあるのかな。お抹茶の味は、①がいちばん濃くて、④がほかと比べてあっさりしてますね」

ーーコメントが、プロっぽくなってきて安心しました。

杉山「では、これいきまーす。好きなやつ❤︎」

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杉山「やっぱり、おいしい!裏切らないなあ。とくに、煎茶。抹茶は、こうやってほかと比べてみると、苦味があるのかな。もしかすると、子どもはちょっと苦手かも。」

ーーそうそう、③のみ、煎茶、抹茶、ほうじ茶の3色だんごです。

杉山「あったかい飲み物が欲しくなりました。うーん、何があうかな…」

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杉山「コレ!白湯です!!」

ーーお茶どころ、宇治の名産なのに?

杉山「だって、おだんごがお茶だから。お茶にお茶だとケンカしちゃいそうで。そうだ、茶だんごに合うお茶が新開発されたらうれしいなあ。」

ーーなるほど!

杉山「今回は、おいしさだけでなく、弾力についても考察できたのがおだんごならではで、楽しかったです。白湯でもう少し、余韻をたのしみます。」

ーーありがとうございました!存分に余韻を味わってください。我々は、次のLOVERのもとへ、食べ歩かれに行ってまいります。

《エピソード2》

次の訪問先は、円町「食堂スーフル」。の、はずでしたが、店主の田中さんがイベント出張中のため、急遽「恵文社一乗寺店」のCOTAGEへ。

田中「わぁ、ホンマにおだんごが来たーー!でも、いまコーヒー淹れてるし、ペコさん、先に食べへん?」

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ペコ「え、いいんですか?」

田中「ええよー。」

ーーというわけで、いきなりな展開ですが、ペコさん、初めまして。茶だんごは、よく食べますか?

ペコ「まったく、初めてです!新潟出身なので、おだんごといえば草だんごを思いだしちゃいました。」

ーーでは、お好きな順に、召し上がれ!

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ペコ「あ、」

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ペコ「あんことか、中には何も入ってないんですね。思ったより、あっさりしてる。どれも甘さひかえめでサイズも小ぶりだから、どんどん食べられそう。」

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「どれどれ…」

ーーて、いきなり、誰ですか?

ペコ「あ、旦那さんです。」

旦那さん「えちがわのりゆきと言います(モグモグ)おもちの絵を描いているから、見ていたらつい食べたくなりました(モグモグ)」

ーー「うんころもちれっしゃ」の?

旦那さん「そうです!うーん、①と②がとっても似てるなあ。④は甘みがほかと違う気がするなあ、なんでだろう」

ペコ「私も、④は塩っぽいなって思ったの。③は、3つの味がたのしめて、見た目もかわいいから好きだなあ。煎茶が飲みたくなってきたから、沙由里ちゃんと交代しますね」

 

《エピソード3》

田中「お待たせしました〜!わあ、めっちゃかわいい!!」

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ーー三谷龍二さんのカッティングボードに並べてみましたよ。

田中「おばあちゃんが好きやったから、子どものころ、めっちゃ食べてたん。なつかしいなあ。おばあちゃんが好きやったん、どれやろ。食べたら、わかるんかな。見た目やと、①か⑤やなあ」

ーー見た目で、わかるの?

田中「えっとな、これやと思うねん。⑤!」

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田中「当たりや〜!クゥゥゥ、なつかしすぎる〜〜っ!!!」

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田中「結果、どれもおいしいんやけど(笑)。なんか言わなあかんよなぁ?」

ーーはい、できれば…。

田中「ええっと、」

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田中「自分でつくるとここまでもっちりしなくて、もっと歯切れがよくなるねん。そこが茶だんご特有のおいしさなんかなあ。」

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「どれどれ…」

ーーて、飛び入り多いですね。また次は誰ですか?

大学生「大学生でシンガーソングライターの中村佳穂です。わたしは山崎出身だから宇治とは関係ないんですけど、ライブで地方に遠征するときに、前から手みやげにいいなあって思ってたんですよ、茶だんご。ほら、なんといっても数がたくさん入ってるから。」

ーーそれは言えてますね。楽屋見舞いにピッタリ。

大学生「わぁ、④は、口に入れた途端にお茶の味がする!③のほうじ茶も好きやなあ。でも…」

ーーどれがお気に召しました?

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中村「⑤に決定!遠征の手みやげにするなら、コレ〜。」

田中「ほんまに? うちのおばあちゃんも、喜ぶわ。」

中村「でも、どれも誰かが手でつくってくれた感じがして、いいですね。茶だんごが、こんなにおいしいって、知らなかったです」

《エピソード4》

夕暮れて、荒神口の「かもがわカフェ」。instagramでたまに「スイーツおっさん」ぶりを発揮しているマツヲタケシさん。今回の食べ比べ最年長選手。お住まいは、みたらしだんご豆餅のちょうど中間地点あたりだというおだんごLOVER。

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マツヲ「いやあ、茶だんごも大好物ですよ。宇治は30年行ってませんけど。いろいろ思い出……せないなあ、もう(笑)。」

ーーむしろ、30年前に、何をしに行ったのか気になりますね。

マツヲ「とにかく、お茶をいただきましょう。紅茶党なので、ここは迷わず紅茶でいきます」

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マツヲ「よぉし、味わって食べるぞ。」

ーーはい、ご自分のペースでどうぞ。

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マツヲ「①は、噛んでるうちに濃いお茶の味がしてきました。どれも甘さひかえめなので、おっさんにはうれしいですね。③は…あとにしようかな、こんなのがあるんですね、今は。」

ーーはい。ここまで、女性陣には大人気でした。

マツヲ「ほぅ。色の濃さとお茶の濃さは比例するんでしょうか。④は色もいちばん薄いし、お茶の味も非常に上品。おだんごっぽいというのか。子どもの頃から食べてたのは、コレかなあ。」

ーーお好みは、ありそうですか?

マツヲ「左のふたつ、①と②がお茶っぽくて、右の④と⑤がお菓子っぽい印象。⑤はなんやろ、独特のフレーバーがあるような。」

ーー③もいってみますか。

マツヲ「お、煎茶か。なるほど。茶だんごと思って食べると、ちょっとびっくりしますね。まるでワンダーランド!味が変わって楽しいし、飽きずに食べられるところが女性に人気なのかも。」

ーーなるほど。

マツヲ「ぼくは①が好みかな。いちばん、お茶の味がするのがいい。」

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マツヲ「マーケティング的には、若い女の子にももっとウケたほうがいいと思うよね。」

ーーたとえば、具体的に?

マツヲ「カラフルさとか。茶だんごといえば、箱一面が緑色やけど、1つかふたつ、桜色のがパラパラと入ってるとか。かわいさ、ポップさが足されるといいのかも。」

ーーないですね、そういえば。

マツヲ「でも、おっさんにはコレが目にやさしいんやけどね(笑)。古いけど、そこにしがみつかずに続いていくのが京都やから、コレもあって、ポップなバージョンもあるって、たのしいと思う。新しいチャレンジも見てみたいなあ。」

《エピソード5》

さて、トリは、宇治・木幡出身の高山大輔さん。「実家の台所には、いっつもあったで、茶だんご。」という、ロコボーイ。

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高山「うちにある箱、これや。」

ーー今回は、ブラインドで食べてもらいますから、パッケージを勝手に見ないでください。

高山「あ、ごめんごめん。よし、食べ比べや。」

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高山「お、違うもんやね。」

ーーそうなんですよ。

高山「①と②は、噛んでる間にお茶の味がしてくるけど、④は口に含んだ途端にお茶が香るね。ほんで、子どもの頃から食べてるやつは、⑤やわ。なじみの味やけど、いちばん淡白かな。うちのオカンが買ってきてたってことは、安いのかな?」

ーーいやいや。個数や一粒の大きさも違うんですが、値段は、そんなに変わりませんよ。

高山「ひと通り食べたので、ここからは、茶だんごにコーヒーが合うかどうか、検証してみましょう!」

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ーーちなみに、純粋に今、飲みたいと思う飲み物はなんですか?

高山「温かいもので……ほうじ茶かな。ほっこり、ホットなもの。」

ーーほっこり。

高山「和菓子の中でも、茶だんごは趣がある。日本のお菓子やなーという感じがあるよね。噛めば噛むほど味が変わるのもおもしろい。」

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高山「コーヒー、合いますね、意外と!」

ーー合いますか!

高山「酸味のあるコーヒーがベストだと思います。抹茶には柑橘があいますしね。」

ーーほぉ。

高山「では、①からもう一度、食べてみます。」

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高山「ムム!」

ーーどうかしましたか?

高山「さっきは、違いが曖昧だった、①と②が全然違ってきました。コーヒーの苦味のあとだと、①は甘みがひきたち、②は苦味がひきたつ。ゆっくり噛んでいるうちに、違いが際立ってきましたね。」

ーーそれは、興味深いですね。

高山「④は…やさしい!味わいに、まるみがあるっていうのかな。⑤は子どもの頃からそうやったけど、飲み物がいらんわ。だんごだけ食べ続けたいタイプ(笑)。」

ーーコーヒーにいちばん合うのは?

高山「ぼくの好みは④かな。毎日飲んでも飽きないコーヒー、っていううちの店のコンセプトにもあってるし。」

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高山「プハーーーーーーッ!」

ーーいきなりどうしたんですかっ、大丈夫ですか?

高山「いやぁ、まさに喫茶や。川が見える。川を眺めながら、おだんごと温かい飲み物で一服。時代劇のワンシーンの、あれやわ。日本のルーツがここにあるような気がしてきました。感動的ですらあるね。いやぁ、ほんまにありがとう!」

ーーこちらこそ、みなさんありがとうございました!

茶団子5種類 食べ比べてもらいツアー in Kyoto! from beacon kyoto on Vimeo.

 


《今回食べ比べた、宇治の茶だんご》

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①《宇治駿河屋》宇治市宇治蓮華41(平等院表参道) ☎︎0774-22-2038

②《中村菓舗》宇治市宇治妙楽188(県神社前) ☎︎0774-21-2538

③《京都巽庵》☎︎0774-22-4066 ※平等院参道の「お休み処丸吉」にて購入可。

④《稲房安兼》宇治市宇治蓮華11(平等院表参道) ☎︎0774-21-2074

⑤《大茶万本店》宇治市宇治東内15 ☎︎0774-23-1514

《宇治の茶だんごLOVER5》
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《1》杉山早陽子

和菓子作家。1983年三重県生まれ。食べたら無くなるあたりまえのことに着目、表現方法としての和菓子に可能性を感じ、京都の老舗和菓子店に和菓子を学ぶ。鑑賞から食べるまでの行為をひとつの作品としてとらえ、記憶に残る一瞬を和菓子に込めて制作する。10年間、和菓子ユニット「日菓」として活躍し、現在は杉山早陽子、「御菓子丸」として活動。著書に『日菓のしごと 今日の和菓子帖/青幻舎刊』がある。

 

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《2》越川陽子

てふてふ菓子店」主宰。新潟生まれ 東京でお菓子修行をしたのち 1年前から京都へ移住。出張喫茶やイベントなどでお菓子を販売しています。

instagram: @tefutefupeco12

 

 

080-IMG_5205_1《3》田中沙由理

食堂souffle(スーフル)です。スーフルとは フランス語で「息」。ほっとしたりふぅーっとため息のつける場所にしたいという意味から、この名前を付けました。京都の西、円町でひとり、小さい食堂を切り盛りしています。京都で大切に野菜を育ててくださっている柴田さんの季節のお野菜と滋賀県高島の清水さん、堀田さんのお米を使って、愛情たっぷり、心を込めて日替わりの定食やパスタを作っています。お昼の定食、カフェタイムのお茶、夜のごちそう。笑ったり おしゃべりしたりしながら、心安まる時間を提供できるような、そんなお店になることが目標です。

 

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《4》マツヲタケシ

PR&プロモーションプランナー。 京都市中京区生まれ。 ファッション関連企業入社後、東京にてPR・プロモーションを担当。 数年前に帰洛しフリーランスに。 タバコを止めた途端に好きになったスイーツを食べ歩きつつ、現在の京都を勉強中の「スイーツおっさん」。

 

 

128-IMG_5431_1《5》高山大輔

かもがわカフェ」店主。京都の町家を改装したカフェ『さらさ富小路』で3年間働いたあと、暖簾分け独立のかたちで2004年に現在の場所に『SARASAかもがわ』をオープン。その後、07年に改名して『かもがわカフェ』に。営業時間後に厨房のハンドロースターで焙煎をおこなうコーヒーのおいしさに定評がある。今回食べ比べメンバー唯一の宇治生まれ、宇治育ち。

 

 

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