柳谷観音(楊谷寺)

洛西の隠れた紅葉名所で、心ゆくまでもみじ狩り

―文:大木由美 

平安時代より天皇家や公家を初めとする眼病に悩む人々から、眼病平癒の祈願所として厚い信仰を集めてきたのがここ、楊谷寺です。眼病にご利益があるという十一面千手千眼観世音菩薩(柳谷観音)、そして空海が眼病に悩む人々のために霊水にしたという湧き水「独鈷水(おこうずい)」を求めて、今も参拝者が絶えません。

江戸時代には、眼病治療に訪れた霊元天皇の眼の病が治ったことから、眼病にご利益があることが世間に広まり、明治時代まで天皇家に独鈷水を献上していました。また、「西山三山」(ほかに光明寺と善峯寺)のひとつでもあります。

清水寺の開祖延鎮が806年に開山したことから西の清水とも謳われた楊谷寺には、天皇家ゆかりの歴史ある品も多く、かつては天皇や皇族、その勅使などのみが入ることを許されていた総ヒノキ造りの上書院もあります。こちらの上書院は現在、毎月17日の午前中のみ一般公開されていて、ここから眺める名勝庭園は格別に美しく、隠れた名所となっています。

その「目の観音様」・楊谷寺、実は紅葉の名所でもあります。山間の寺院らしく本堂の背に広がる山々の錦もさることながら、一番の見どころは参道に敷き詰められた散り紅葉と、映画のロケ地にもなった名勝庭園を彩る楓の赤。

特に、限定公開である上書院から眺める錦秋の庭園は、言葉にできない美しさです。普段は月に一度しか入ることのできない上書院は、2016年11月19日(土)から12月4日(日)までの秋の紅葉イベント「柳谷観音 紅葉ウイーク」中は常に公開されているのでぜひとも訪れておきたいところ。

ほかにも、秋限定のもみじの押し花朱印が用意されていたり、非公開の貴重な寺宝や浮世絵の特別展示があったりと期間限定の催し物も多く、少し遠出をする価値は十分にあります。隠れた名所というだけあって人出も比較的穏やかなので、ゆっくり紅葉狩りを楽しめるのも、観光地の人ごみに疲れた方には嬉しいポイントです。

残念ながら紅葉の時期を逃した方には、6月のあじさいまつりがオススメ。広々とした境内には約4500株のあじさいが鮮やかに咲き誇り、華やかながらも落ち着いた風情のある光景を見せてくれます。

また、上書院もあじさいの見頃に合わせ、あじさいまつりの前から一週間、特別公開されます。お祭当日には寺宝や浮世絵の展示だけでなく、境内に露店やコンサートの舞台も出て親子連れにも人気のスポットです。

 

柳谷観音(楊谷寺)

住所:長岡京市浄土谷堂の谷2(地図

電話:075-956-0017

時間:9時~17時

拝観料:無料(一部拝観料要)

WEBサイト:http://yanagidani.jp/

★三宅 徹さんによるTRAVEL IDEA「京都カメラマンが案内する「極私的」京都紅葉ツアー」、次にご紹介するSPOTは「地蔵院」です。

LINEで送る