小嶋商店

こだわりの提灯に「印(しるし)」を入れる

―文:くにとみるみこ、写真:岡タカシ 

BEACON MAGAZINE-Crafts of Kyoto-”Lantern"の記事でもご紹介した小嶋商店さん。伝統的な京都の「地張り式」提灯を、材料となる和紙選びから竹を割る作業、完成した提灯に「しるし」と呼ばれる装飾を施すところまでを一貫して手作りで製作しています。

「印(しるし)」とは提灯に書かれた紋や文字・柄などを指し、そういった装飾の施された提灯のことを「印入り(しるしいり)」と呼ぶのだそうです。11月末のまねき上げにあわせて毎年新調される南座の提灯も小嶋商店さんが手がけた印入りです。そこには歌舞伎の世界で発達した独特の書体、勘亭流の見事な文字が躍ります。文字の点画がすべて繋げて書かれているのは「お客さんが絶えないように」、極力隙間を少なく書かれているのは「客席が隙間なく満員になるように」という願いが込められているそうです。この「印」の工程、20年ほど前までは「印屋(しるしや)さん」という専門の職人さんに外注していたそうですが、時代の変化に合わせて9代目で現在の親方、小嶋護(こじままもる)さん自ら筆をとるようになりました。

「手を抜くとそれなりのものしかできない」という御歳88歳になる先代のお言葉を胸に、提灯作りはどの工程においても「こまめにきっちりすることで仕上がっていく」と語る小嶋さん。「削り墨」という細かく削られた墨をすりこぎで磨る過程でも、線に艶を出すために2時間磨ることもあるといいます。提灯の形状を考慮して見栄えよく仕上げるには様々なコツがあるそうですが、「あたりをつけて感覚で書く場合も多いです」と言いながら、さっと書いて下さった文字はまさに“印刷”されたような仕上がり。それでも、完璧と思えるものはまだできないと笑顔で話す姿には、職人の心意気とこだわりを感じました。

提灯屋さんは、古い提灯を見本にしたり、そのお店に伝わる型紙を使うことが多く、同じ言葉でも形には違いがあると小嶋さん。「うちの“御神燈”は天理の提灯屋さんから受け継いだ文字なんです。」と、使い込まれて布のようになった型紙を見せてくれました。小嶋さんが惚れ込んだその文字は、美しく整った形の中にも堂々とした力強さがあり、その“印”が提灯に更なる存在感を与えているようでした。暗闇の中で灯る温もりのある和紙の明かりと、祈りや願いの込められた“印”の文字が重なり、より神聖で幻想的な印象を与えてくれる提灯。息子さんたちによる新たなブランドも始動し、日本の伝統と美を伝えてくれる小嶋商店さんのこれからがますます楽しみです。

 

 

創業江戸寛政年間 小嶋商店/あかりブランド 小菱屋忠兵衛

住所:京都市今熊野椥ノ森町11-24 (地図)

電話:075-561-3546

定休日:日曜・祝日

WEBサイト:http://kojima-shouten.jp

 

(ちび丸体験)

提灯の小さな照明「ちび丸」づくりを体験できる。

料金:1名3,500円

所要時間:約1時間30分

時間:10:00~、14:00~の2回(土日祝は休み)

3日前までに要申し込み。問い合わせは小菱屋忠兵衛まで

 

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★くにとみるみこさんによるTRAVEL IDEA「御朱印と書、文字の魅力をめぐる一日」、次にご紹介するSPOTは「即成院」です。

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