誓願寺

一筆ごとに心静かに自分に向き合う

―文:佐藤和佳子、写真:岡タカシ

新京極の喧騒から一転。山門をくぐると正面にご本尊の大きな阿弥陀如来様がお出迎えしてくれます。

誓願寺は浄土宗西山深草派の総本山。創建は古く、飛鳥時代に天智天皇の勅願で奈良に建てられました。その後、都が移るのと共に京都の西陣(現在の上京区元誓願寺通小川西入ル)へ移転。豊臣秀吉がこの地に寺町を作った際、現在の地に移ったのだそうです。

こちらは、街中にありながら写経ができるのも魅力です。始めに道場で法話を伺った後、本堂におられる一言観音様の前で般若心経を唱えます。続いて、道場で手の平に粉末状の塗香(ずこう)を受けて体を清め、含香を口に含んで体と心を清めてから写経に向かいます。

深呼吸をして心を空っぽにしたら、ひたすら一文字、一文字、お経を写していきます。すると次第に心が平坦になり、無になっていくのが分かります。「一つの事をすることで心が落ち着き、ゆとりが生まれます。これを日常で行っていくと心が乱れることがなくなりますし、自らの心をコントロールできるようになるのではないかと思いますよ」と本山課長の長谷川晃雄(はせがわこうゆう)さん。

約1時間。自分自身に向き合いながら一筆ずつ置いていった写経も終わり、最後に「諸芸上達」「無病息災」など願い事を書き込んだら一言観音様へ奉納し御朱印をいただきます。本来、写経とは納経した証明としていただくもの。同寺では、その古式に戻したいという意味を込めて、一言観音様の御朱印は写経をした人のみに授与されます。「1日に何ケ寺も回って御朱印を集めるのもいいかもしれませんが、1時間ゆっくりとお寺に滞在するのもいいものですよ」と長谷川さん。

ところで当寺は御朱印が多いことでも知られています。ご本尊の阿弥陀如来様の御朱印はもとより、浄土宗の開祖・法然上人の御朱印や法然上人の高弟で浄土宗西山派の流祖・西山上人の御朱印もあります。

面白いところでは、清少納言が同寺を訪れたことで菩提心をおこし尼となったことや、和泉式部や秀吉の側室・松の丸殿が帰依したことから「女人往生の寺」として名高く、和泉式部のカラフルな御朱印があります。また当寺の五十五世安楽庵策伝上人が「落語の祖」と呼ばれることから芸道上達のご利益をいただきに策伝和尚の御朱印を求める人も多いのだとか(共に枚数限定のため無くなり次第終了)。

経文の一文字一文字を仏さまと想い、心をこめて浄写する時をすごしたことで、お寺を出る頃には心のアカが取れ、リセットした気分になりました。

 

誓願寺〉 

住所:京都市中京区新京極桜之町453

TEL:075-221-0958

拝観時間:9時~17時

WEBサイト:http://www.fukakusa.or.jp/

Email:info@fukakusa.or.jp

 【写経体験

日時:11月12日(土)、12月3日(土)、1月21日(土)

いずれも14:00~

費用:1300円

※ご予約は参加希望日の前日までに、希望日程・氏名・ご連絡先を、電話またはEmailにてお申し込み下さい。

※定員に余裕のある場合は当日も受付可能です。

 

★くにとみるみこさんによるTRAVEL IDEA「御朱印と書、文字の魅力をめぐる一日」、次にご紹介するSPOTは「宝蔵寺」です。

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