お食事処きたむら

かやぶき民家とそばの花畑を眺めながらいただく、美山の絶品手打ちそば

―文:玉田南倭、写真:本間腕

 

初秋になるとそばは花をつけることをご存知でしょうか。重要伝統的建造物群保存地区にも指定されているかやぶき屋根の民家を背景に、真っ白な可愛らしい花を一面に咲かせたそば畑。そのすぐ目の前に、かやぶき屋根の建物で風情たっぷりな「お食事処きたむら」があります。

こちらの魅力は何といっても美山で唯一の手打ちそば。美山原産のそば粉と、谷からくみ上げているという水道水を使用して、店内のガラス張りのブースで職人さんがそば打ちします。一度におよそ18食分しか出来ないため、日に何度も手打ち作業を行うのだとか。土日には多い時でなんと15回打つことも。タイミング次第でそば打ち風景を見ることができるのもお楽しみ。

 

今回ご紹介するのはWABISUKEを使った「地鶏せいろとミニたまご丼」のセット。

地鶏のダシが効いた温かいつゆに、そばをくぐらせていただきます。鶏はぷりぷりの程よい弾力。細めのそばにつゆがよく絡み、心地よい喉ごしです。

実は、この喉ごしには秘訣があります。「そば生地を切るときに包丁を直角に入れると断面の角が立ち、のどごしがよくなるんです」と、見事なそば切りの職人技を披露してくださったのは店主の中野さん。

中野さんがお店を開業したのは平成6年のことです。開業当初は機械打ちの麺を仕入れていました。ある日、京都市内で手打ちそばを食べたときに、そのおいしさに感銘を受け、「美山のそばのおいしさを最大限味わってもらえる手打ちそばを作りたい」という思いが芽生えました。その後、その店で修行することになったそうです。そばは手打ちすることでそば本来の香りを損なわず、香り豊かな極上のそばに仕上がるといいます。修行の甲斐あって中野さん自身の目指すそばが完成し、今では地元や観光客に大人気の手打ちそばになりました。

 

そばには旬があり、その年に収穫されたばかりのそばを新そばと呼び、一年を通じて一番おいしくいただける時期と言われています。美山では9月ごろに花をつけたそばは10月に実を結び、11月中ごろからが新そばの時期です。

「岡くんの心意気も含めてこの地鶏を使っています」と、WABISUKEの地鶏について語る中野さん。のびのびと平飼いで育てられた鶏をもって心の豊かさを問いかける生産者の姿勢に熱意を感じたのだとか。地鶏せいろとたまご丼以外に、「たまごかけごはん」や「とろろそば」にも地元の養鶏場から仕入れた新鮮なたまごを使用し、多いときには1日100個を使うこともある人気ぶり。

学生時代に都会へ出たことで、美山の風景や大自然の素晴らしさに気付いたという中野さん。究極の手打ちそばを追求するだけに留まらず、美山の高齢化問題にも目を向けて、75歳までのシルバー採用も行っているそう。美山のますますの発展を願う中野さんの情熱と温かい人柄が感じられました。

 

お食事処きたむら

住所:京都府南丹市美山町北揚石19-1(map

TEL:0771-77-0146

営業時間:10:00~17:00

定休日:水曜日(祝日の場合は営業、11月は無休)

WEBサイト:http://www.kayabukinosato.com/kitamura.html

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