鴨川デルタ

京都市内で、川遊びといえばここ

―文:山下まり子、写真:岡タカシ

 

北山・桟敷カ岳に端を発し、桂川へ合流するまでの全長約30kmを悠々と流れる “かもがわ”。古くからさまざまな表記があったようですが、現在は高野川との合流点より上流を「賀茂川」、下流を「鴨川」と表記するのが一般的です。今回紹介するのは京阪電鉄・出町柳駅を降りてすぐ、高野川との合流地点にある川の三角州、通称「鴨川デルタ」です。2009年公開の『鴨川ホルモー』や2005年公開の『パッチギ』、アニメ『けいおん!』など多くの作品に登場しているこの場所は、朝から晩まで多くの人が行き交う京都の人気スポット。とりわけ夏の盛りには、川遊びを楽しむ人の姿が多く見られます。

鴨川デルタが位置する出町柳は、商店街や飲食店が集まる賑やかなエリアです。街の喧騒のただなかで川遊びができるなんて、豊かな自然が残る京都だからこそ。川の中には小魚が泳ぎ、北を向けば下鴨神社の糺の森、東を向けば日本三大霊場の比叡山、五山送り火で有名な大文字山が望めます。三角州の真ん中に立って四方を見渡せば、京都が“山紫水明の地”と呼ばれる所以を肌で感じられることでしょう。

さて、鴨川デルタの景観に欠かせないのが西岸から東岸をつなぐ“飛び石”です。さまざまな形の石がてんてんてん、と連なる飛び石は、観光客にも大人気。なかでも亀の形をした石が有名で、修学旅行生が亀の上で記念撮影をしている様子はおなじみの光景です。ときには地元の方の移動経路にも利用されている飛び石ですが、サンダルをはいた子どもたちが網を持って飛び石を渡る姿を見ると、夏の到来を感じます。

鴨川デルタはもちろんのこと、春はお花見、夏は納涼床、秋は紅葉、冬はランニングなど、かもがわには年中通して多くの人が訪れます。時の権力者・白河法皇が「賀茂川の水、すごろくの賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と遺したように、水害で人々を困らせたこともあるかもがわですが、古くから祭事の際には禊に使われる神聖な場所でもありました。京都の歴史ともに歩んできたかもがわは、いつの時代も人々にとってなくてはならない存在だったのでしょう。少し暑さのゆるんだ夕刻。きらきらと太陽を反射する川面が、次第に夕焼け色に染まっていきます。

 

鴨川デルタ〉 (地図

 

LINEで送る