Books & Café Wonderland

絵本を読んで感動した人と人が出会う場として

文:佐々木歩、写真:瀧本加奈子

JR向日町駅のすぐ前に建つ、ビルの1階にあるBooks & Café Wonderlandは、オリーブ色の大きなテントが目印です。一見して、本屋さん? 喫茶店? と戸惑う人もいるそうですが、そのどちらも正解。店内入り口付近は、オーナーの長谷川みゆきさんが選りすぐった絵本や児童書がそろうショップコーナーで、その奥にはギャラリーを兼ねた喫茶コーナーがあります。

オープン当初は3,000冊もそろえていたそうですが、今は長谷川さん自ら目を通し厳選した2,000冊ほどに減らしたといいます。「大型書店の絵本コーナーのようにたくさんあると、逆に選びきれなくなってしまいます。私が皆さんに届けたいという本は何かと考えた時、いわゆる流行りのシリーズ物などは大型書店に任せて、私が実際に読んで『これはすごい!面白い!』と思ったものを置こうと思うようになりました」。

「子どもの頃には図書委員をするなど児童書を読みあさるような本の虫でしたが絵本の凄さ、魅力に気付いたのは大人になってからです。私の子どもが通っていた幼稚園には図書室のような部屋があり、読み聞かせのボランティアの人がいるなど本を大切にしていて、それがきっかけで常に本がそばにある生活になっていきました」。

「あるとき、『おおはくちょうのそら』(手島圭三郎著・絵、リブリオ出版)の読み聞かせを聞いて号泣したんです。それで、子どもの本なのにすごいな、大人にもとても影響を与えるものなんだな、と。そこから図書館のボランティアをしたり、作家の講演会に行ったり、お母さんたちとも触れ合ったりして。そのうち、世の中にはこんなにいい本があるのになかなか出会えない。まずは子どもと自分が楽しみたいと本を集め、それが高じてこのショップへと」。

本を選ぶ時には、母親として伝えたいこと……命、平和、地球の自然環境をコンセプトにしている長谷川さん。(年齢に合わせて楽しく、が大前提です。)「絵本というのは大人が言葉を厳選して作ります。絵も単なる背景ではなく、子どもは絵の中からいろんなことを読み取ります。絵本は子どもが初めて出会う文学であり、芸術です」。

おすすめの絵本はありますか?と尋ねると、先ほどの『おおはくちょうのそら』の他に、心を持つ銅像のライオンの感動的な話を描いた『ライオンのひみつ』(マーガレット・ワイルド著、リトバ・ボウティラ絵、国土社)、ライオンの国の王子が他国で知識や知恵を学び、成長する物語の『つばさをもらったライオン』(クリス・コノヴァー著・絵、ほるぷ出版)、遠く離れたおばあちゃんに“ハグ”を届ける物語の『ゆうびんやさんおねがいね』(サンドラ・ホーニング著、バレシー・ゴルバチョフ絵、徳間書店)、東北から九州まで新幹線に乗って旅する『新幹線のたび〜はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断〜』(コマヤスカン著・絵、講談社)、親子でスキンシップしながら読む『ぽぽんぴぽんぽん』(松竹いね子著、ささめやゆき絵、福音館書館)と、次々に出てきます。「この『すみれ島』(今西祐行著、松永禎郎絵、偕成社)は、昭和20年の特攻隊と子どもたちの話。実は私の母から聞いた戦争の頃の話と通じるところがあって、とても感銘を受けた1冊です」。

本を探しに来たお客さまに時間があれば、実際に本を開いて読んで聞いてもらうこともあるといいます。「喫茶コーナーに、たまたま休憩に訪れた男性が、自分の子どもに何か買って帰ろう!と思いついて、その相談にのることもあります。世代を超えて読み継がれ、何度読んでも面白いのが絵本。読んだ思い出も積み込まれ、アルバムみたいな存在でもあります」と語る長谷川さん。ただの喫茶、ただの絵本屋さんでなく、いろんな文化が交流できる場でもありたいと、絵本作家を招いて原画展や朗読会なども開催しています。「人との出会い、本との出会い、それは人生の宝だと思っています」。

 

Books & Café Wonderland
住所:向日市寺戸町久々相8-2(地図)
TEL:075-931-4031
営業時間:8:00〜18:00 土曜・祝日は9:00〜17:00
定休日:日曜
WEBサイト:http://www.wonderland1995.com

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