栄盛湯

佇まいに京都で一番銭湯情緒を感じるお風呂屋さん

 

―文:林宏樹、写真:津久井珠美

 

現在も市内に120軒ほどのお風呂屋さんが残る京都。その中でも、佇まいにおいて最も銭湯情緒に満ち溢れているのが、栄盛湯さんだと思います。京都のお風呂屋さん約50軒を紹介した拙著『京都極楽銭湯案内』では、その風情に惚れ込み、表紙を飾ってもらいました。

 

栄盛湯さんは、世界文化遺産にも登録されている下鴨神社から北へ歩いて5分ほど。下鴨本通から脇にそれると、昔ながらの食堂や豆腐屋さんの並びに、こんもりと木々が繁っているのが見えてきます。

正面に立つと門の上をアーチのように伸びる門かぶりの松。その奥には男女2枚に分かれた京都型と呼ばれる暖簾が、昭和3年(1928)頃に建てられた建物の軒先で揺れています。

これだけでも十分に風情があるのですが、門かぶりの松をくぐると、そこには大きな錦鯉が悠々と泳ぐ池が。実はアプローチが池を跨ぐ石橋になっており、橋の上に立つと立派な日本庭園に迷い込んだかのような感じさえ覚えます。

この風情あふれる栄盛湯さんを切り盛りされているのが、2代目にあたる西田淑恵さん。いつも朗らかに迎えてくださり、親戚の家を訪ねたときのような気持ちになります。

写真は遠慮されたのですが、お風呂を手伝う娘の明代さんと、愛犬ラルティちゃんと一緒に暖簾の前に並んでもらって1枚パシャリ。

お風呂屋さんの魅力は、ご主人や女将さんに依るところも大きいので、ちょっと強引に撮らせていただきました。ありがとうございました。脱衣場にさりげなく花が生けられていたり、季節の飾り付けがあったりと、女将さんや娘さんの心遣いが感じられるのも、栄盛湯さんの大きな魅力です。

 

やはりお風呂に入らなくては!ということで、開店時間を待って、常連さんと一緒にお風呂を楽しみましたが、やはり明るいうちに入るお風呂は格別です。

快適に改装された浴室の湯気抜きから午後の日差しが差し込む空間は、まさに都会のオアシス。地下水を沸かしたお湯でじっくりと身体を温め、しっかり冷たい水風呂と往復すれば、身も心もほぐれていきます。

水風呂に注がれている地下水は、ペットボトルに詰めて自宅に持ち帰る人も多いとか。京都のお風呂屋さんのレベルの高さをここでも感じさせてくれます。

お風呂上がりは、腰に手を当てて冷たいコーヒー牛乳をゴクッと一気飲み。気分爽快で表に出れば、あの風情あふれる前栽です。

今日は営業しますという意味を表す「本日有ります」の札が、いつまでも掛かっていて欲しいと思わせるお風呂屋さんです。

 

 

栄盛湯

住所:京都市左京区下鴨膳部1 (地図)

TEL:075-781-0744

営業時間:15:00〜23:00

定休日:月曜

 

LINEで送る