子どもの本専門店 きんだあらんど

子どもたちが受ける“かけがえのないもの”と真摯に向き合う絵本屋

文:佐々木歩、写真:マツダナオキ

岡崎公園エリアと鴨川のほぼ中間の住宅地に、絵本や童話などをそろえた子どもの本の専門店「きんだあらんど」があります。点々と裸足の足跡が続く階段を上がると、部屋中たくさんの絵本が並んでいます。

店長の蓮岡修さんは、本来は僧侶であり、20代から30代前半までは海外の被災地や紛争地国際支援活動に携わったり、肉体労働や造園業を経て本屋にたどり着いたという多彩な経歴の持ち主。在庫も合わせて4,500冊もあるという本は、1冊1冊しっかりと吟味して選び抜かれたものばかり。「新刊も大体は目を通した上で質を落とさないようにセレクトしています。子どもが良い本と触れ合い、楽しめるよう、責任を持って」と。

「絵本というのは“生まれて良かった”とか“親が子に愛を伝える”ためにふさわしい品位あるものであるべき。単にきれいだとかかわいいとか、刺激があって面白いというだけでは選びません。親と子が一緒にじっくり読んで、感動を共有したり、成長してもまた読みたくなる質のあるものを置いています」。

三流のプロとして、責任を持って本を選ぶという蓮岡さん。どんな本が好きか尋ねると、「以前、私に絵本のことを教えてくださった出版社の社長さんのところは、本当に良い本を出されています。愛のこもった、感性を育ててくれるもの、子どもたちに対して媚びずに真摯な責任を果たそうと努める本です。子どもに“届ける”使命を果たそうとする本。本が与えた影響が、どんな想像力や思考を持つ子になるか、小さな子どもの成長を培うものとして、立ち居振る舞いが違います」と。選んでいただいたのは、外を歩く小さな子どもの目線を辿るような『いっぽ、にほ、、、』(シャーロット・ゾロトウ著、ロジャー・デュボアザン絵、童話館出版)と、大自然の中で繰り広げられるかけがえのない親子の一時を感じる『しずかなおはなし』(サムイル・マルシャーク著、ウラジミル・レーベデフ絵、童話館出版)。

「親子の関わりを描くなど、丁寧に絵本を作っていた時代の本です。『しずかなおはなし』は50年も前のものですが、今読んでも素晴らしい。『いっぽ、にほ、、、』は色使いにも非常に気を使っていて、色温度の使い分けも見事です。絵本というのは、子どものものだから単純でいいというは間違いで、何も知らない子どもたちが初めて会う芸術でもあります。私たち本を選ぶ人間にとって甘い仕事ではありません。手を抜くわけには行きません。作る側もそうあってほしいものです」。

きんだあらんどの3階には、京都市子育て支援活動いきいきセンターの「つどいの広場」として、「どんぐり広場」が置かれています。お子さんとの過ごし方など悩みを抱えたお母さんが、家から出て、子どもとゆったりと過ごせるようにと開設されたスペースで、他の親子と交流したり、常駐している経験豊富な子育てアドバイザーに相談することもできます。

幼稚園や百貨店の催事の選書なども任されるなど、多方面からも非常に信頼の厚いきんだあらんどが最も力を入れているのが「ぶっくくらぶ」です。これは各家庭に毎月きんだあらんどで選んだ本をお届けするサービスです。「子どもの成長に合わせてコースを設け、その時期に相応しいものを選んでいます。親子で一緒に絵本を読んだ体験は、生涯、心に残ります」。また、この「ぶっくくらぶ」は「13カ月の絵本プロジェクト」もオプションで参加できます。「これは、通常、ぶっくくらぶは1年間12ヵ月の絵本を配本するシステムですが、余分の1ヵ月分を国際ボランティアと協力して、海外の絵本を読んだことのない子どもたちへ絵本を届ける運動に親子で参加できる企画です。自分の名前の書いてある本が、海外のどこかの村の図書館に置いてある。そのことを想像し、実感することが、知らない国に縁を感じる国際協力ではないかと思います。きんだあらんどは、この企画に対して、3分の1の資金を負担します。それは、私たちも国際協力を一緒に行わせていただくという意思表示でもあります。」

「絵本を通じて“かけがないのないもの”を育てる。そして国際協力にも主体的に参加できる。一緒に感動したり、考えたり、絵本を読む行為そのものから、家庭の中に物語が生まれるのだと思っています。その物語こそ、家族が一つになる核になるのではないかと信じています」。


子どもの本専門店 きんだあらんど
住所:京都市左京区新間之町二条下ル頭町351 きんだあビルディング2階(地図)
TEL:075-752-9275
営業時間:10:00〜18:00 ※どんぐり広場は16:00まで
定休日:水曜、祝日(不定休)、年末年始 ※どんぐり広場は水・日曜・祝日
WEBサイト:http://kinderland-jp.com

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