メリーゴーランド

信頼のおけるラインナップで遠方から訪れる人もたくさん

文:木村桂子 写真:倉本あかり

絵本といったらまずはココ、というぐらい有名な、子どもの本専門店。京都市の中心部に位置する、重厚かつノスタルジックな「寿ビルディング」5Fに、ひっそりと店を構えます。売られている本は、すべて店長の鈴木潤さんが目を通した「本」ばかりです。

「ひとりでやっている、ということもあり、私が“売りたい本”を選んで置いています」と鈴木さん。そのラインナップはさまざまで、絵本はもちろんのこと、小説や新書なども幅広く取り扱っています。ちなみに“売りたい本”というのは? と尋ねると「子どもに媚びていない本ですね」ときっぱり。本来の物語を省略したり、目先の楽しさやわかりやすさを押し出すのではなく、100人いたら100通りの読み方ができるような、芯の通ったお話を展開する本が、ここにはたくさんあります。

取材の前日、メリーゴーランド京都では2回目となるイベント「ちっちゃいパレード」を開催。作家を呼び親子で楽しめるさまざまなワークショップを行ったそうなのですが、そのイベントに訪れた方が、この日、絵本を買いにご来店。関東からお越しの親子3人、お子さんも一生懸命に絵本を選び、どうやらお気に入りの一冊を見つけたようです。

メリーゴーランド京都には、小さなギャラリーが併設されています。「あえて子ども向けにしてください、というオーダーはしないんです」という通り、親子連れはもちろんのこと、大人もしっかり楽しめる内容。この日は「こがしわかおり 展 〜みつけないで」を開催。葉っぱや木々の隙間から妖精たちがちらりと見え隠れする様子をチャーミングに描いた、とても見応えのある絵の数々が展示され、訪れた人の心をふんわり解きほぐしていました。

『絵本といっしょに まっすぐまっすぐ』(アノニマ・スタジオ)という、絵本ガイド的エッセイも出版されている鈴木さんに、例えば大人の女性におすすめの絵本は? と聞いてみたところ、「これがいいかな〜」と出してくれたのが『くうき』(理論社)。「童謡の作詞を数多く手がけられたまどみちおさんの詩が絵本になっています。空気について書かれた詩は普遍的ですが、絵と合わさることでまた違った感じ方ができますよ」。抽象的な絵と、空気のユニークな捉え方。疲れた心をふっと癒してくれるような一冊です。

小さな子が「どれにしようかな…」と、真剣に選ぶ絵本。たくさんの本の中から、“これだ”と思える一冊を見つけられた喜びは、子どもだって大人だって変わりません。クリックひとつで買えることはもちろん便利ですが、そこに行って手に取ってみて、時には鈴木さんと話しながらとっておきの一冊を選び出すことで、思い出としても記憶に刻まれ心が豊かになります。「お母さんに連れられて絵本を買ってくれたお子さんが、時を経て次はご自身のお子さんを連れて買いに来てくれるようになるまで、30年は続けたい」。親から子へと受け継がれる絵本を静かにサポートする、メリーゴーランド京都はそんな素敵な本屋さんでした。

メリーゴーランド京都
住所:京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 寿ビルディング5F(地図)
TEL/FAX:075-352-5408
営業時間:11:00〜19:00
定休日:木曜日
WEBサイト:http://www.merry-go-round.co.jp/kyotogallery.html

 

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