祇園祭/八坂神社御旅所

前祭から後祭までの一週間、八坂神社の神様がこちらに

―文:柚原靖子、写真:佐藤佑樹
写真提供:京都もよう

四条寺町にある「Otabi Kyoto おたびきょうと」といえば、京都定番の工芸品やお菓子、食品などを販売しているショップ。しかしその本当の姿は、祇園祭期間中に八坂神社の三基の神輿が納められる御旅所です。

御旅所(おたびしょ)とは、神輿が氏子地域を巡行する時に、休憩あるいは宿泊される神聖な場所。四条通に面した八坂神社の御旅所には、東御殿(ひがしごてん)と西御殿(にしごてん)という2つの御殿があり、東西を御殿に挟まれた「Otabi Kyoto おたびきょうと」がある空間に、三基の神輿が鎮座することになります。御旅所が今の場所に定められたのは天正19(1592)年で、豊臣秀吉によりそれまで2か所にわかれていたものが統合されたといいます。

実は祇園祭は、平安時代に都をはじめ日本各地の疫病除去を祈願した祇園社(八坂神社)の神事に由来する八坂神社の神事。当時、都に蔓延する疫病などの災いが怨霊の仕業と考えられたことから、八坂神社のご祭神であるスサノヲノミコト(牛頭天王)に、怨霊を鎮め、疫病を祓うことを祈願したのがそのはじまりと伝わります。

怨霊を鎮めるための御霊会が初めて行われたのは貞観年間(859~877)。今の二条城近くにある神泉苑で、当時の国の数と同じ66本の矛を立て祇園社から神輿を送って疫病払いを祈願しました。山鉾巡行の原型が見られるのは室町時代の頃で、町衆がそれぞれの町ごとに山車などを作り、巡行に参加するようになったという歴史があります。

このように、祇園祭は御霊信仰から生まれた祭りであり、ハイライトといわれる山鉾の巡行には街中を巡って悪霊を集め都大路を清めるという役割があります。清められた町に八坂神社から神様をお迎えする「神輿渡御」こそが、祭り最大の行事なのです。


(前祭・山鉾巡行における、長刀鉾の様子)

御旅所に八坂神社から三基の神輿が入られるのは7月17日、つまり山鉾巡行が行われた日の夜。この日から後祭の山鉾巡行が行われる24日までここに鎮座されます。八坂神社から氏子町内を巡行して御旅所に向かう17日夜の神幸祭(しんこうさい)、そして、再び氏子町内を巡って八坂神社に戻られる24日の還幸祭(かんこうさい)は、どちらも迫力満点。一基あたり3トンもあるという大きな神輿を大勢で担ぎあげる「差し上げ」や、法被姿の男衆による「ほいっと、ほいっと」の掛け声は、山鉾巡行で見る祇園祭のイメージとはまるで違った荒々しさ。時間があえば、そちらもぜひ見てほしいもの。

三基の神輿は「中御座(なかござ)」、「東御座(ひがしござ)」、「西御座(にしござ)」といわれ、それぞれに素戔嗚尊(すさのをのみこと)、櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、八柱御子神(やはしらのみこがみ)が鎮座しています。1年で1度、いつもよりぐっと間近に八坂神社の神様をお参りできる一週間。ぜひ厄除けや開運成就を祈願しましょう。

お問い合わせ先:八坂神社 http://www.yasaka-jinja.or.jp/
        祇園祭山鉾連合会 http://www.gionmatsuri.or.jp/

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