実伶

また立ち寄りたくなる、素材の味をダイレクトに伝える割烹

―文:中村慶子、写真:瀧本加奈子

洗練されたお店が町並みに溶け込む御所南エリアで、ひときわ落ち着いた外観の「実伶(みれい)」。祇園の割烹などで計14年間修行を積んだ中尾雄三(なかおゆうぞう)さんが2016年5月に開きました。もしかして少し入りにくさを感じるかもしれませんが、ちょっぴり故郷・長崎のイントネーションが交じった店主が温かく出迎えてくれるのでご安心を。存在感あるカウンターを中心に木を基調とした割烹ならではの空間ですが、照明を落とした店内にさりげなくジャズが流れ、バーのようなおしゃれな雰囲気が漂っています。

前菜からお造り、焼き物、煮物、揚げ物、〆物まで、日替わりで50~60品のアラカルトをそろえています。9品8640円のコース料理もありますが、「頼んでほしいのは一品料理。食べたいなと思えるアラカルトが、ジャンルに偏りなくあるように用意しています」。1軒目に選ばれる方ばかりでなく、お客さんの利用法もいろいろとか。「おそがけに寄られて、2、3品頼んで軽くお酒を飲む、なんて常連のおふたりもいらっしゃいます。気楽にふらっと立ち寄ってもらえる店を目指しているのでうれしいですね」

祇園祭の頃にお薦めという、旬の素材を使ったアラカルトを用意してもらいました。前菜の「蒸し鮑」は3~4時間かけて蒸したアワビの歯ごたえが、軟らかいのにコシがあって絶妙。横には日替わりで旬の素材を添えています。この日は大原産の赤軸ほうれん草とクレソン。「ハモと新順才の椀物」は兵庫・淡路島産のハモに葛粉をまぶしてゆで、ジュンサイを合わせた上品な一品。ハモのプリッとした噛みごたえ、ジュンサイはトロリの後シャキシャキと2段階の食感が楽しめます。焼き物は「活鮎」。若鮎の時期を少し過ぎたとはいえ、炭火でじっくり火を通しているので骨まで軟らかくいただけます。

料理に共通して感じられるのが、素材のおいしさを引き出す姿勢。「味付けでごまかさず、飾り付ける手間を省いて、食材のおいしさをダイレクトに生かすことを心がけています」。市場に通って、自分の目と経験値から仕入れているからこそ、自信を持って素材で勝負できるのでしょう。唐津焼に中国の古染付、現代作家の器…。「休日になると骨董屋などに通って集めてきた」という器も上質でありながら、主役をさしおいて主張しすぎないところに徹底した意思を感じました。「誰かに教えたいけど、秘密にしておきたいような…」「今度来たら、これも、あれも食べてみたいな」などと考えながら、夏の夜が静かに更けていきました。


〈実伶〉
住所:京都市中京区竹屋町通室町東入ル亀屋町143-2(地図)
電話:075-251-2007
営業時間:12:00~14:30(LO13:30、ミニコースのみで要予約)
17:00~22:30(LO22:00)
※昼営業は7月1日からスタート
定休日:水曜
WEBサイト:https://www.facebook.com/kyotomirei/?fref=ts

LINEで送る