喫酒 幾星

蒸し暑い夜に気分爽快になるカクテルを

 

―文:中村慶子、写真:岡タカシ

祇園・大和大路通に面したリノベーションビル。1階を一番奥まで進むと、「喫酒 幾星(いくせい)」がひっそりとありました。「バー」ではなく、禅語の「喫茶去」に由来した「喫酒」。扉を開けると、背筋がピンと伸びて知的な雰囲気漂うマスター・織田浩彰さんが出迎えてくれました。カフェ・バーで経験を積んだ織田さんが2014年に30歳で開いたお店で、得意とする分野が植物をアルコールで抽出した「薬草リキュール」。専門とするバーは全国でも10軒ほどしかないそうです。

ハーブなどを原料としたフランスやイタリアなど欧州産のボトル約100本が壁に並ぶほか、比叡山麓で管理する薬草園から収穫した生の植物でカクテルを作ります。比叡山は薬草分布の北限と南限が交わるため多くの種が生育する地で、近くには製薬会社の植物園もあります。20歳のときに飲んだハーブリキュールの味が印象的だったというマスター。幾星を開店後にお客さんと話をする中で、比叡山に薬草園を持つ人とつながり、200種以上が育つ薬草園を貸してもらえることになったそうです。「花、実、葉、茎、根…。植物のいろいろな部分を使って数えきれない種類のカクテルが作れるのが楽しいところ。例えばユズの実を使うのは当たり前だけど、葉を使うと面白い。実と葉では香りも違うんですよ」

メニュー表がなく、好みや気分を伝えるとマスターが提案してくれます。夏にお薦めのカクテルを尋ね、「ヤマモモのコスモポリタン」を注文しました。クランベリージュースを基本に使う「コスモポリタン」をアレンジ。薬草園から摘んできたヤマモモの実を冷凍して使用することで、「凍らせた実にウォッカを注ぐと、細胞がはじけて香りを発するんです」。実をつぶしてライム果汁を加え、真剣な表情でシェイカーを振るマスター。カクテルグラスに注がれた紅色に気分が上がります。ウォッカベースなので愛らしい色に相反して辛口ですが、野趣あふれるヤマモモとフレッシュなライムの風味で、爽快な気分になりました。「葉ワサビのジントニック」や「スイカのソルティドッグ」も蒸し暑い夜にぴったりです。

カクテルのほかウイスキーやワインがそろい、コーヒーがおいしいのもうれしいところ。深煎り豆をペーパーでハンドドリップしています。午後4時開店なので、コーヒー目当てに夕方来店するもよし、アイスコーヒーをウイスキーのチェイサーにして夜を楽しむもよし。「かつて洋酒はお金持ちの飲みものだったが、現代は違う。働く同世代が、週2回ほど飲みに来てほしいという気持ちで価格設定しています」

24日には、御旅所へ渡御していた3基の神輿が再び八坂神社へと還ってゆく「還幸祭」が執り行われます。八坂神社の石段下、21時頃から神輿を持ち上げて回す「差し回し」は、一番の見せ場。ゆっくりと見物して、京を彩る華やかな祇園祭を心ゆくまで楽しみましょう。

 

喫酒 幾星

住所:京都市東山区大和大路通新橋上ル元吉町43元吉町ビル1F(地図

電話:075-551-1610

営業時間:16:00~25:00

定休日:日曜 ※6/27~7/7までフランスへ買い付けのため休業

WEBサイト:https://www.facebook.com/ixey26/

 

 

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