祇園番号路地

独自の進化を遂げた祇園の路地

文:土橋健司、写真:光川貴浩

祇園の夜の街を案内すると、決まって「祇園で飲むなんて、高いんじゃないの?」と返ってきますが、路地奥にはリーズナルブルかつ美味しい食事と出会える隠れ家的なお店がたくさんあります。また、人気観光地として他府県の方を案内する機会も多いエリアであり、ビジネスマンであれば接待の機会もあるはず。いざ案内人側になったときのために、手札になるお店を持っておくと便利です。

まず、祇園の路地を知るうえで覚えておくと便利なのが、四条通沿いから北側に伸びる路地には「16番路地」というふうに一本一本の路地に番号が付けられており、なかには目印となる看板が掲げられているということ。どの路地も見た目が似通っているため、番号や看板を把握しておくと、位置関係が把握でき、誰かを案内するときにも役立ちます。しかし残念なことに、一部の路地は番号を記した看板を紛失しているので注意が必要です。

覚えておくと便利なのが「19番路地」。「ぎをん小路」という別称の看板が掲げられ、頭上には「ここは十九番露地です」と親切に書いてあります。つげ櫛や椿油で有名な「かづら清老舗」のすぐ東隣にあることから、目印が比較的覚えやすいのも助かります。四条通から19番路地を北に入ると、[山口大亭 東店]という庶民的で入りやすい居酒屋が右手に現れます。気さくな佇まいとは裏腹に、創業約50年になり、祇園で長く愛されてきた古き良き一軒です。メニューは焼き物から揚げ物、造りに名物の鉄火めしまで豊富に揃い、どの料理も家庭的な味わいでおいしいです。

さらに、19番路地を抜けると、赤い提灯を吊るした台湾料理店[萍萍(ピンピン)]がちょうど真正面に現れます。母と娘の2人で営むこじんまりとした家庭的なお店ながら、界隈の料理人たちも足繁く通う知る人ぞ知る人気店。しかも、営業は午前3時半まで。豚足の煮込みやあさりのにんにく漬けなど、台湾家庭料理の定番メニューを味わえ、なかでも水餃子は忘れずにオーダーを。もっちりとした肉厚の皮に肉汁がたっぷり入っていて、1人でも2人前はペロリと食べられると思います。

祇園の路地は奥に進めば進むほど、とても入り組んだ構造をしており、ナイトツアーをすれば歓楽街で働く人たちの様子を覗き見しながら、小さな冒険気分を味わえます。ところで、祇園の路地のおもしろさは、他のエリアではまったく考えられない独自の進化を遂げていることです。たとえば、もともと路地があった場所にビルを建増ししたため、普通なら町家や民家で構成されるトンネル路地が、商業ビルによって覆われるなど、祇園という街のカラーが全面に表れた路地も。変貌を遂げた路地の姿に、愛おしさを感じることができれば、もう十分に路地マニアでしょう。

<山口大亭 東店>
住所:京都市東山区祇園町北側286 19番路地内(地図)
TEL:075-561-4158
営業時間:17:30~23:00
定休日:日曜

<萍萍(ピンピン)>
住所:京都市東山区祇園富永町北側397 ピッケルブル1F(地図)
TEL:075-541-4419
営業時間:18:00~翌3:30
定休日:日曜・祝日

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