六原学区の路地

路地を愛し、路地を守る人たち

文:土橋健司、写真:光川貴浩

六原と呼ばれる地域をご存知ですか。平安時代に栄華を誇った平家一門の拠点が置かれ、鎌倉時代には幕府の出先機関である六波羅探題が設置され、政治上の要地として重要視されてきたエリアです。また、かつて五条坂から今熊野あたりの阿弥陀ヶ峰のふもとは、鳥辺野と呼ばれる京都の埋葬地でした。遺体は鴨川を渡り、鳥辺野へと至る途中に、ここ六原に建つ六堂珍皇寺にて野辺の送りの法要を行っていたと伝わります。その背景もあり、六堂珍皇寺・西福寺の門前は、この世とあの世をつなぐ入り口とされ「六道の辻」と呼ばれ、毎年お盆の時期には精霊迎えの行事「六道まいり」で賑わいます。

この地域は、戦争の影響や道路拡幅の影響をあまり受けなかったといわれ、現在も伝統的な家並みが色濃く残り、細い通りや行き止まりの袋小路がひしめく一大路地王国になっています。一方、古い木造住宅が並ぶ密集市街地として防災上の課題を問う声もあがり、六原学区では「防災まちづくり計画」に真剣に取り組んでおられます。実際に六原まちづくり委員会が中心となって、路地や建物など学区全体の現状を知るための町歩きを通じて「防災まちづくりマップ」を作成。学区内の道における路地の割合や本数を丁寧にまとめたり、トンネル路地の耐震・防火工事を行ったり、さらに2つの袋小路をつなぐ緊急避難扉を設置されたりするなど、路地が多い学区ならではの町づくり計画をきちんと進めておられます。

なかでも路地めぐりにとって、ユニークな取り組みのひとつが、地域の路地や小路に愛称を付けようというプロジェクト。地域を改めて知り、愛着をもつきっかけとして、学区内の方に路地名を公募し、実際に「弓矢薬師小路」「松月小路」「みつもり1路地」など、陶器製の銘板が掲げられました。このエリアの路地は、市内中心部と異なり地形に勾配があるため、路地の中腹に階段が出現したり、とても長い図子が存在したり、歩くだけでも探検心を大いにくすぐってくれます。また、防災の観点はもちろん、地域の方が路地の”美観”について啓蒙ポスターを掲げているなど、住人が路地の街であることに誇りを感じておられます。

見どころいっぱいのため、歩き疲れたときは、ぜひ路地裏にある[コーヒー&ラウンジ紅ゆき]へどうぞ。建仁寺の南、八坂通りを南に入った路地に佇む隠れ家喫茶店です。築90年を越える建物をそのまま活かした重厚感のある静かな和の空間であり、カウンターからは印象的な坪庭を眺めることができます。芸舞妓さんもプライベートで訪れることもあるそうで、カウンター席の柱には舞妓さんの名刺である千社札がたくさん。自家製パンや、黒豆を用いたカレーなど、ここでしか味わえない一手間かけた料理はどれもおいしいです。ちなみに、夜はラウンジ営業をされています。

 

<コーヒー&らうんじ 紅ゆき>
住所:京都市東山区八坂通小松町572(地図)
TEL:075-541-1311
営業時間:11:00~18:00(LO17:30) ラウンジは19:00~
定休日:月曜

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