四条烏丸界隈の路地

客足の少ない路地で商う=イイ店の証

文:土橋健司、写真:光川貴浩

路地は「あじき路地」や「三上家路地」など”通り名”のあるものと、”名無しの道”に分かれます。前者は、その土地に深く関わった人や建物、あるいは歴史的な事件や出来事に由来して命名されていることが多く、その経緯や逸話を知ると、京都の人の営みを知ることができます。多くの路地は後者に当てはまり、名前のないぶん比較的知名度は低く、隠れ家的なスポットが多いといえます。とくに優劣があるわけではなく、組み合わせてめぐると、京都の路地文化をより深く楽しめるでしょう。

さあ、四条烏丸から路地裏めぐりのスタートです。まずひとつめの路地は、東洞院四条を少し下ったところにある東向きにすっと伸びた路地。名無しの道です。ちょうどパンケーキで一世を風靡した[Eggs 'n Things]のすぐ南側に位置します。この奥にある、2015年の5月にオープンした[VOU]というショップ&ギャラリーが目的地。生活感たっぷりの路地に、ネオン看板が絶妙に馴染んでいます。京都の芸大出身のオーナーが、新進気鋭のイラストレーターやグラフィックデザイナーの作品を独自の感性でセレクト。「鴨川軍手」「棒キャップ」など、男性でも欲しくなるような雑貨やグッズが揃っています。四条烏丸徒歩3分という一等地で、[VOU]のようなオルタナティヴな場を成立させているのは、オーナー自身の手腕もさることながら、路地裏という受け皿の存在も大きいのではないでしょうか。京都に芽生えた新しいカルチャーの匂いをつかむことができる独創的なお店です。

次は、[VOU]から3分ほど歩いたところにある路地に向かいましょう。こちらも名前はなく、高倉通四条下ル西側にあります。奥には、京都では定番の”おばんざい”が豊富に並ぶ[お数家いしかわ]と、そのまま同じ路地内でハシゴ酒が楽しめる[BAR奥]があります。いずれも京都らしい町家を活かした雰囲気のいいお店。四条烏丸からほど近く、アクセスも便利なので重宝しています。この路地の見どころは、なんといっても、屋根から吊るされた大きな提灯。路地の外(入口側)からは見えないのですが、食事を済ませた帰りがけ、路地から出るときに頭上を見上げてみてください。立派な提灯が路地の薄暗い足元をやさしく灯し、酔客を見送りしてくれます。こちらの提灯は[お数家いしかわ]の女将さんが開店祝いにいただいたものだそう。ぜひ夜に足を運んで、お食事とともにその仕掛けを楽しんでみてください。

そもそも商売をするには大通りに面しているほうが有利なはず。わざわざ客足が遠のく路地にお店を構えるということは、裏を返せば、お店の商品や腕に自信がある、あるいは奥まっていても成立するほど人気がある、といえるでしょう。

 

<VOU>
住所:京都市下京区東洞院四条下ル元悪王子町47-12(地図)
TEL:075-744-6557
営業時間:16:00~22:00
定休日:水・木曜
WEBサイト:http://voukyoto.com/

<お数家いしかわ>
住所:京都市下京区高倉四条下ル高材木町221-2(地図)
TEL:075-344-3440
営業時間:17:30~24:00(日曜・祝日~23:00)
定休日:不定休

<BAR奥>
住所:京都市下京区高倉四条下ル高材木町221-1(地図)
TEL:075-344-6040
営業時間:19:00~翌2:00
定休日:月曜

 

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