祇園 輿市

熟成鶏肉と新鮮な地野菜を味わいつつ、客同士で会話を楽しむ一軒

ー文:佐々木歩、写真:瀧本加奈子 

大勢の人が行き交う四条川端の交差点、南座から北座へと歩くと、ビルの一隅に縄のれんがゆらり揺れています。ひょうきんな顔が看板を飾る「祇園 輿市」は、源平合戦「屋島の戦い」で、平家が立てた扇の的を見事射落とした逸話で有名な那須与一にあやかり、「『願いを的へ』の意味を込めて店名にしました」とオーナーシェフの竹内ゆきおさん。言われてよく見れば、入り口の提灯に扇が描かれています。

中はこぢんまりとしていて、コの字型のカウンターのみ。常連さんが多い店ですが、知り合いを連れて来られたり、お店のことを聞きつけた観光客が訪れたり、1人で来る人も多いそうです。「この形のカウンターですから、お客さん同士で会話を始め、盛り上がっていくこともよくあります。人が好きな人たちが集まってくる、そういう場所なんです」。壁には店に惚れ込んだ人たちの名刺が所狭しと貼り付けられています。

人々が集う訳は、店の性格ももちろんですが、やはり「うまい料理がある」からこそ。各地の生産者から取り寄せている新鮮な地野菜に、餌からこだわって育てられた熟成和鶏を使った焼き鳥や鍋などの鶏料理と、食材には相当のこだわりを持っています。「この頃、熟成肉が流行っていますが。牛と鶏では熟成させる期間も方法も違います。まず、他では鶏を使っているところはありませんね」と言いながら、備長炭で焼き鳥を焼きあげていきます。

お得やきとり おまかせ5本セット(1,500円)は、例えばモモ、ぼんじり、手羽先など、その日のおいしい部位が登場します。ポイントは、基本タレではなく塩で食べること。鶏が本来持っている旨みが熟成されたことにより深みが増す、その味わいを堪能するには塩が一番なのだとか。

四季の野菜とともにしゃぶしゃぶする鶏のムネ肉も、もちろん熟成されたもの。厳選された鶏のガラで作る白濁スープは、えぐみも無くさらりとしながらなんとも言えないコクがあり、ぜひ忘れずに飲んでみることをオススメします。

宵の口から食事に来る人、飲み足りない人、シメに立ち寄る人などさまざま。実は鶏ガラスープで作る無添加のラーメンも人気の一品。「でも、『焼き鳥屋』、『ラーメン屋』とは謳っていません。というのも、食材はいつでも大量注文できるものは使わないので、限られた分量しか作れないから。来て、注文してもらっても、無いときもあります。」あればラッキーということ。他にも「面白い物を作りたくて、鶏ハムやチャーシューも自家製で作っています。次はソーセージも作ってみようかな、と」と笑う竹内さん。気さくな店で食べる特級レベルの味わいを、ぜひ。

〈祇園 輿市〉
住所:京都市東山区川端通四条東入ル一筋目入ル常盤町149-1(地図)
TEL:075-531-7741
営業時間:18:00〜30:00
定休日:日曜
WEBサイト:www.facebook.com/gionyoichi

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