ぎをん 蘆田

元気なスッポンが出迎えてくれる知る人ぞ知る川魚料理店

 ー文:中村慶子、写真:瀧本加奈子

祇園の中心を貫く花見小路通。清本町あたりで東に折れると、迷路のような小道が続いていました。「ぎをん 蘆田」を訪れる際に迷ったら、サインは音。ジャラジャラという、マージャン牌を混ぜるときのような音が聞こえる方に進んでください。水槽の下に敷かれたビー玉を元気に動かすスッポンがお出迎え。敷居をまたげば、ウナギにも出合えます。

「ぎをん 蘆田」はスッポンやウナギ料理を中心に提供する料理店。店主の蘆田康司さんが川魚料理店で修行後に独立して1992年に開店、15年前に現在地へ移転しました。スッポンまるごと1匹を用いたコースは2~3人前で14000円。活血からお造り、唐揚げ、お鍋に雑炊までついて、3人で分ければ1人約5000円という知る人ぞ知るお店。スッポンは静岡や佐賀、ウナギは愛知と、特産地から直送で仕入れるため、良心的価格で提供できるそうです。

この日は「スッポン小鍋」(3000円)を注文したのですが、「エンガワ」と呼ばれるヒレの付け根部分のコンニャクのような弾力。身は鶏肉のようなふぐのような淡白なお味で、骨は多いものの身離れがよいので食べにくさは感じません。スッポンの旨味とコラーゲンがたっぷり、ショウガの風味が程よく効いたダシを最後の一滴までおいしくいただきました。

帰り際、「よかったらやってみませんか?」とおもむろに手渡されたのが魚捕り網。「スッポンのコースを注文されたお客さんには、自身が食すスッポンを選んで捕まえてもらうシステムなんです」。コースの注文客ではなかったものの、せっかくなのでお言葉に甘えることに。水槽の中を見つめていると、ちょうど首を10㌢ほど甲羅から出した勢いのある一匹と目が合いました。スッポンといえば歯で噛む獰猛なイメージがあったので恐る恐る、ちょっと申し訳ない気持ちですくうと、意外と簡単に網へ。「白子や卵を持ったスッポンをゲットされた方はラッキーですね」。

コースなら、このままカウンター席の目前で蘆田さんが素早くさばき、日本酒、ワイン、焼酎やリンゴジュースなどお好みで割った活き血のほか、良質アミノ酸たっぷりの新鮮な身やレバーのお造りなどが堪能できます。「祇園で働くスナックやクラブのママさんに、コースのファンが多いですよ。化粧のノリが違うらしいです。残念ながら男には分からないんだけどね」と茶目っ気たっぷりに話す蘆田さんに、「次回はぜひ特製コースをいただきに来ます」と約束して、お店を後にしました。


〈ぎをん 蘆田〉
住所:京都市東山区祇園町北側347-92(地図)
TEL:075-531-6300
営業時間:18:00~翌2:00(日曜は22:00まで)
定休日:祝日
WEBサイト:http://web.kyoto-inet.or.jp/people/gion-asi/

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