アメリカヤ楽器店

愛され続けるまちの洋楽器店

ー文:中村慶子、写真:マツダナオキ

地下鉄北大路駅からすぐの「アメリカヤ楽器店」は、弦楽器や鍵盤楽器を中心に、あらゆる洋楽器を扱う創業71年の楽器店。今回の案内人、調律技師の長岡哲也さんが30年以上勤めるお店です。1階にピアノを中心とした鍵盤楽器、2階にバイオリンなどの弦楽器。「楽器を選ぶときに大事なのは、実際に触れて、自分に合った楽器を見つけること。だからどんどん試奏していただくようお薦めしています。合わなかったから新たに買い替えるといったものではなく、末永く愛用するものですからね」。バイオリンなら初心者用の本体、弓のセット3万円から、100年以上前に作られた数千万円のイタリアンオールドまで、豊富な品ぞろえ。修理やクリーニング、調律などのアフターサービスには特に力を注いでいます。

「2階はミニコンサート会場にもなるんですよ。このあたりにお客様用の椅子を並べて、あちらで演奏します」。一角のスペースの照明を切り替え、長岡さんがさらりとピアノを奏でてくれました。流ちょうな演奏と指の運びをもう少し味わっていたい気分になります。「2カ月に1回ほど開きます。コンサートホール等で聴くスタイルもよいものですが、ここでは小さなお子さまも気軽にお越しいただける等身大のコンサートです」。長岡さんが伴奏者としてピアノを演奏する機会も多いそうです。

近所に住んでいた長岡さんが初めて訪れたのは6歳のとき。「ピアノを勧める母親に連れられて、嫌々とね。購入した後も、返品に行くと駄々をこねていたそうです。しかしすばらしいピアノの先生と出会って続けることができました」。時は流れ、次は大学受験を控えたタイミングで、先代の加藤成治社長に声を掛けられたそうです。「音楽関係の仕事に就きたいが、未練が断ち切れない。そんなときに社長から、ピアノの調律の道に進むのはどうかと指南していただいたんです」。静岡県の調律師養成学校に進んで大手楽器店を経験した後、地元に戻って思い出深い楽器店に入社したのは、やはりご縁があったのでしょう。

楽器販売や修理のほか、音楽教室や練習スペースレンタルなども行うアメリカヤ楽器店。ピアノやバイオリンなど8種の楽器が習え、3歳から90歳過ぎまで約200人がレッスンに通っています。趣味が多様化する中、20年前からレッスン生の人数はほとんど変わっていないそうです。「当時は幼稚園児だった女の子が今では子を持つお母さんになって次の世代でもお付き合いが続いたり、私の調律したピアノが縁で音楽人生が楽しくなったとお話いただいたり。やはり長く音楽を続けてくれるのが一番うれしいことですね」。親しみやすさにとどまらず、細やかな心遣いを絶やさない長岡さんやお店の方々の様子から、地域に愛され続ける所以がよく分かりました。


アメリカヤ楽器店
住所:京都市北区小山上総町14-16(地図)
TEL:075-441-2341
営業時間:10:00~19:30
定休日:なし(盆・年末年始除く)
WEBサイト:www.americaya.jp

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