カイドウコーヒー焙煎所

住宅街にひっそりたたずむカフェ併設の自家焙煎所

ー文:中村慶子、写真:瀧本加奈子

住宅街の細道を進んだところに見つけた「カイドウコーヒー焙煎所」の看板。お宅の横にある納屋がどうやらお店のようです。ガラガラとガラス戸を開けるとカウンターに立つ店主の福富容子さんが笑顔で出迎えてくれました。

コーヒー好きだった福富さん夫婦が焙煎の講習会に訪れたのが10年ほど前。少しのさじ加減で風味が変わる焙煎に面白さを感じ、本格的にやってみたいと思っていたところ、ご主人が中古の焙煎機をプレゼントしてくださったというエピソードが印象的です。2007年、自宅の納屋で焙煎と販売のみスタート。3年ほど前に納屋を増築し、カフェスペースもオープンしました。
「豆を販売するにあたってこだわったのは、値段を手頃にということ。コーヒーは日常的な飲み物だから、高いと気軽にゴクゴクは飲めないでしょう。街中でテナントを探したときもありましたが、ここなら場所代がかからないしね。八百屋さんのような感覚で、新鮮な豆をちょくちょく買いに来る近所のお客さんが多いです」。豆の値段が100g310円からという、自家焙煎店としては良心的な価格設定です。

自転車や原付きバイクで訪れる常連さん。「いつものを」「量はどれぐらいで?」という短いやりとりに続いて、気候の話題。年配の女性も、若い男性もいて、幅広い年齢層に愛されていることが分かります。「今日はそろそろあの方が来る頃かしら?なんて顔を思い浮かべながら焙煎しています」。焙煎は朝、明かり取りの窓から差し込む自然光で豆の色を見ながらするのが日課。「焙煎しているときが、最も心落ち着く時間ですね」

豆は中煎りから深煎りまで、ブレンドを含む8種。一番人気の豆は中深煎りの「グアテマラ・SHB・ウエウエティナンゴ」と聞き、「ホットコーヒー」(350円、小さな焼菓子付き)を賞味させていただくことに。注文後に豆を挽き、ペーパードリップで時間をかけて福富さんが淹れてくれます。陶器のマグカップにたっぷり2杯分。趣深い建具や品のよい古物に囲まれたカフェスペースでいただくと、香りが芳醇でコク深い味わい。近くに近鉄電車が通り、耳を澄ませばレールのきしむ音がかすかに聞こえるぐらいの静かな空間で、コーヒーをゆっくり楽しむことができました。土曜日限定カレーやパ ティシエの娘さんによる焼菓子も人気です。

店名は、結婚記念に自宅の庭へ植えた「ハナカイドウ(海棠桜)」から。私が訪れたとき、木はピンク色の愛らしいつぼみをたくさんつけていました。同じくコーヒー好きの家族に応援されながら容子さんが営んでいることが随所から感じられる焙煎所。心温まる素敵な空間でした。


カイドウコーヒー焙煎所
住所:城陽市久世北垣内87-1(地図)
TEL:0774-52-9678
営業時間:10:00~17:00
定休日:日・月曜
WEBサイト:http://kaidocafe.exblog.jp

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