洛叉庵

また予約して食べたくなる至福のわらび餅

ー文:中村慶子、写真:大島拓也

北山通りから猪熊通を南に少し下がった住宅街。大きな窓のお宅があり、毛筆で店名が書かれた立て札がガラス越しに見えました。ここが知る人ぞ知るわらび餅の「洛叉庵」。口コミで評判が広まったお店です。扉を開けて中へ入ると待合室になっていて、奥から「少々お待ちくださーい」の声。アンティークな家具とともにディスプレイされた古いミシンや小さな民芸品を見ていると、レトロな喫茶店に入ったような気分です。

「四季わらび餅」を作る中野政子さんが、出来立てを持って出てきてくださいました。本来は持ち帰りのみですが、特別に店頭でいただくことに。きな粉がたっぷりのったわらび餅を一口いただいた瞬間、今まで食べたものとは異なる食感に驚きました。「原材料はわらび粉と砂糖、そして風味付けに一保堂茶舗の抹茶だけ。わらび粉と水を手で10分ほど練り上げるだけで、特別なことは何もしていないんですよ」。とろとろと柔らかいのにコシもある、バランスの取れた食感。お箸で引き上げるときに餅が伸びること伸びること。毎回心を込めて練り続ける10分間の手作業が、おいしさに直結していると確信しました。滑らかな口当たりも相まって、たちまち完食。抹茶やきな粉の風味は控えめで、わらび餅自体の味や食感を堪能できる大人のスイーツです。

かつて区内の和食料理店で働いていた中野さん。そこでお土産に出されていたわらび餅がおいしくて、自分でも作ってみようと思ったのが開店のきっかけ。あちこちの和菓子店のわらび餅を食べ比べながら、好みの食感と味を独自に追求してきました。「友だちに食べてもらったら、すごくおいしいってほめられてね。勧められて、店まで出すことになりました」と当時を笑顔で振り返る中野さん。それから14年。出色のわらび餅を求めて、全国からお客さんが買い求めます。「ここのを食べると、ほかのが食べられないって。お客さんに喜んでもらえるのが一番うれしいですね」。

完全受注生産で、作り置きはしていないのでご注意を。1日に作る量が限られるので、早めの予約がお薦めです。箱の大(16個入り)1200円、小(8個入り)690円。パック(8個入り)540円。3~4月は、桜の葉で香り付けしたわらび餅もあります。

〈洛叉庵〉
住所:京都市北区紫竹下芝本町22(地図
電話:075-494-2551、090-3059-3616
営業時間:11:30~17:00(受け取りのみ)
定休日:12月30日、1月1日

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