上賀茂神社

京職人たちの意欲的な作品も展示するパワースポット

ー文:中村慶子

京都で最も古いお社のひとつ、上賀茂神社。案内人の栗山さんたちはここで、伝統祭事の「葵祭」で用いる葵の葉にちなんだ展示会を開いています。京の伝統産業にたずさわる異業種の職人グループが、「100年後に残る伝統産業」をテーマに作品を展示しているのです。

その舞台を訪ねてみました。古代神話に登場し、神代の降臨後、678年に現在地に社殿が既に存在していた上賀茂神社。平安京では鬼門をまもる神社として、現在では全国に16ある勅祭社(天皇より勅使が遣わされる神社)の筆頭格として、別格の尊敬を受ける神社です。

大きな一の鳥居をくぐると広々とした空間に参道が伸び、歩きながら気持ちがスーッと澄み渡るのを感じます。二の鳥居をくぐると、白砂を円錐形に盛った「立砂」が2つ。2km奥の神山にちなんだ神様が降臨される場所で、「清めのお砂」の起源。楼門の向かいの「岩上」は、神と人の心が通い合い、気が集中するパワースポットです。奥に進み、第42回の式年遷宮を終えたばかりの本殿でお参りをしました。21年に1度社殿を更新して御神霊を遷し、昔と変わらぬ姿を美しく保つ式年遷宮。茅を葺き替えたばかりの屋根の真新しさが際立ちます。

次は「二葉葵展」のメーン会場となる「庁屋」へ。木々の中を流れる「ならの小川」は、百人一首で藤原家隆の「風そよぐ ならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」に詠まれたことで有名。第6回の「二葉葵展」では小川に川床が出現してお茶席が設けられ、雅楽のライブも開かれたそうです。せせらぎを渡ると、長さが約300mもある壮大な木造建築が現れました。400年近く前、徳川家光により造り替えられた「庁屋」は、神様へのお供え物が作られていた場所。現代では、能楽や歌会のほか催しも開かれており、「二葉葵展」もそのひとつです。

展示会に参加するのは、左官、表具師、畳や家具職人、大工などさまざまな分野の職人たち。例えば異業種とコラボレーションしたり、普段の仕事の域を離れた意欲作だったり。
新たなステージを意識した作品の数々が並びます。

彼らが思い描く夢は、丹精に作られたものが身の回りにある、豊かな暮らし。かつては当たり前だった暮らしが、現在はすっかり難しくなりました。合理化によって物質的な豊かさは追求できても、精神的な豊かさが失われてしまった現代。「高いものづくりの技術を過去の遺産にせず、より発展させて新たな社会にしていく。そのための工夫をしなければ、伝統産業は生き残れず、本当に豊かな暮らしも送れません」と栗山さんは言います。

都になる前から京を見守ってきたお社は、「伝統って何だろう」「豊かな暮らしって?」と思いをはせるのにふさわしい場所。次回の開催予定は、2017年5月。もちろん参拝のみで訪れ、数あるパワースポットを巡っても楽しめます。

〈上賀茂神社〉
住所:京都市北区上賀茂本山339(地図
電話:075-781-0011
開門時間:5:30~17:00
参拝料:境内無料(特別参拝500円)
WEBサイト: http://www.kamigamojinja.jp/

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