興石

京数奇屋にも現代建築にも合う、家具と灯りのショールーム

ー文:中村慶子、写真:大島拓也

家具や指物を扱う「興石」の社屋は、北大路堀川バス停前にあります。茶室を配した数奇屋建築の名棟梁が興した「中村外二工務店」のインテリアを扱う会社として、1984年に創業。デンマークのビンテージ家具を中心に扱う家具部と、自社で木組みの照明を作る指物部。二つの部門で発展してきました。

建物に向かって左側が家具、右側が照明のショールーム。まずは家具から見せていただきました。創業当時、代表の中村義明さんが現代の数奇屋建築に合う調度品を探し求め、出合ったのがデンマークの家具。本国からスタッフを招き、品ぞろえを増やしました。

2フロアにズラリと並ぶのは、デンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールなどの名作を中心としたビンテージ家具。1940、50年代のものが品ぞろえ豊富です。「ウェグナーのイスでは、現行品と異なるブラジリアン・ローズウッドで作られた『チャイナチェア』や、非売品ですが10代に手がけた世界に2脚しかないと言われている『ファーストチェア』の1脚があり、遠方のお客様にもお越しいただいております」と家具部の伊久茜さん。

寿司屋のカウンターのようなケヤキ材のテーブルなど、母体の工務店大工が作った商品も所々に。手斧で彫り跡をつけた床材は、畳の代わりに敷くと部屋の趣がぐんと変わりそうです。

いったん屋外に出て、今度は指物部の照明を扱うショールームへ入ります。指物部の商品はすべて、奥の工房で手作りされたもの。木の枠に和紙を貼った照明具は、灯りが柔らかく伝わり、心が温まります。

「クギやボンドを使わずにほぞ穴をつけて木を組むのが指物。100年間使い続けられる技術で作った照明具です」と創業時から働く指物師の鳥原嘉博さん。情緒たっぷりな行灯(あんどん)から、多面体のアーティスティックなものまで。アーチ状に木を曲げる技術や、サッカーボールのようなペンダントの照明の斬新なデザインに目を見張ります。「数奇屋建築に合う照明というコンセプトからスタートしましたが、和室のない家が増えるなど時代の流れに沿って、現代建築に収めることが増えましたね。旅館や料亭から一般住宅、京都迎賓館までお客さんはさまざまです」

ろうそくから白熱球、LEDへ。光の味わいが失われてきた一方で、光源が熱を発さなくなって燃えないように配慮する必要が少なくなり、デザインの幅は広がってきました。「どんどん高いレベルが求められるようになり悩むこともありますが、その分やりがいのある仕事です」。数年後に訪れて、さらに進化した作品を見てみたいと思いながら、ショールームを後にしました。


〈興石〉
住所:京都市北区紫野西御所田町15(地図
TEL::075-415-2818(家具部)075-451-8012(指物部)
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜、月曜、祝日
WEBサイト:http://www.kohseki.com
※要予約

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