京料理 宇治川

宇治茶を生かしたメニューづくりをテーマに掲げる京料理店のお茶漬け

ー文:中村慶子、写真:佐藤佑樹

昭和10年ごろ創業の「京料理 宇治川」は平等院表参道の入口、宇治川のほとりという立地条件に恵まれた京料理店。絶え間なく人々が店の前を行き交っています。喧騒を離れて、店内へ。松井常和社長に3階の座敷の間「宇治橋」へ案内していただくと、壮観な宇治川の流れが目に飛び込んできました。1階から川は見えなかったので、ちょっとしたサプライズ。「初夏は新緑、秋は紅葉。季節ごとに背景の山が川を美しく彩ります」。

川に向かって座る窓際の席で、珍しいお茶を用いた平日限定の「宇治茶漬け」をいただきました。「数あるブランドの中で、他店では見当たらなかったお茶」と松井さんが話す辻利一本店の「玉露玄米茶」。まずは湯飲みで味わうと、芳醇な香りが鼻をくすぐり、歩き疲れた体に染み入ります。5色のぶぶあられが散りばめられたご飯に回しかければ、甘く香ばしい風味がご飯とよく合い、食が進みます。味のアクセントになる自家製の山椒煮は、ヤマブキや破竹が滋味深く、山椒の風味がピリリときいた渋い名脇役。茶漬けの味わいがさらに引き立ち、最後までおいしくいただきました。「茶漬けはお昼ごはんには少し物足りないかもしれません。少しお腹のすいた昼下がりに召し上がる方が多いですね」。

お昼ごはんには、天ぷらやお造りの入った「宇治川弁当」や抹茶うどん入りの「小鍋茶うどん」を注文されるお客さんが多いとのこと。「お茶入り稲荷寿司」や5~10月限定の「お茶の葉の天ぷら」が含まれた、宇治らしいメニューです。「お茶入り稲荷寿司」は、ほんのり苦い乾燥茶葉が甘味のあるすし飯と好相性。断面が見えるようにお揚げで包んでいるので、味も見た目も茶葉が存在感を放っています。

「当店のテーマは、宇治茶を料理にどう取り入れるか。料理で苦味に甘味を合わせるのはスイーツより難しいので、よく頭を悩ませていますよ」。お茶漬けもそんなテーマの一環として生まれました。お茶漬けに合う茶を厳選し、高級宇治茶のよさをじっくり味わえるようシンプルにまとめた構成。松井さんたちの長年の経験が生かされたお茶漬けなのだと、川面を眺めながら改めて実感しました。


〈京料理 宇治川〉
住所:宇治市宇治蓮華2-2(地図
TEL:0774-22-2628
営業時間:11:00~18:30(L.O.)
定休日:不定休
WEBサイト:http://ujigawa.com/

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