ENOTECA C.d.G

伏見とイタリア。ワインがつなぐ、「そこにしかない」おいしさ。

ー文・写真/馬場健太

イタリアワインバーときくと、
どんなお店を思い浮かべるだろうか?

僕のイメージは
「お洒落なジローラモみたいな人が行くところ」である。

「イタリア」×「ワイン」×「バー」
これらのフレーズが醸し出す華美な香りにやられて、ついつい二の足を踏んでしまう...
そんな人ほど、このお店に出逢えた喜びは人一倍大きい。

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「ENOTACA C.d.G」は、伏見の大手筋商店街から細く入り組んだ路地を入ったところにあるイタリアワインバー。偶然では発見できないところにあるので、知る人ぞ知るお店である。

 

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店内の雰囲気はまごうことなきイタリアンワインバーで、最初は緊張していたのだけど
店主でありオーナーソムリエの児玉さんと話をしていると、たのしすぎて時間を忘れてしまうくらいだった。

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ホール採用で入ったアルバイト先でキッチン担当と間違われる、というひょんなことからイタリア料理の世界に足を踏み入れた児玉さんは、宮崎から上京し、某有名イタリアンで修行を重ね、メキメキと腕を上げる。

2003年、本場に飛び込むために渡欧。そこでまた、ひょんなことから「イタリアワイン」に目覚める。

「それまで、ワインは全く好きじゃなかったんです。むしろ、大嫌いでした。でも、ある日ルームメイトが何気なく買ってきてくれたイタリアワインに衝撃をうけて。」

 

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それからは、一気にイタリアワインにのめり込む。一旦帰国したのちに、本格的な修行のため、イタリア・ピエモンテ州のフランスとの国境沿い、アルプスの山奥の村にあるミシュラン2つ星を持つレストランへ。
初日に「デキャンタできる?OK、じゃあこれ、セラーの鍵ね。よろしく!」といった具合で、いきなり、メインソムリエを任されることに。

 

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「まさしく、習うより慣れろ方式で。ワインのテイスティングをどんどんやるんです。
それで覚えていけと。舌とサービスの仕方で覚えていってくれ、というやり方でした。」

本場の地で膨大なイタリアワインの生の経験と知識を体得して、帰国。その後宇治のイタリアンでの勤務を経て、2012年、伏見の地に「ENOTECA C.d.G」をオープン。

 

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イタリアワインは、たのしい!

まずもって僕はイタリアワイン超ド初心者なので
ここで教えてもらったことは驚きの連続だった。

「イタリアは、世界でいちばん(ワイン用の)葡萄の品種をたくさんつくってる国なんです。毎年コンスタントに生産される葡萄はおよそ370品種くらいあるのですがそのうち280ちょいがイタリアのものなんですよ」

イタリアワインは種類が多くバリエーションが豊か、なので
知るのも飲むのもおもしろい、一言でいえば「たのしい」ワイン!

てっきりワインといえばフランスやスペイン、はたまた南米のイメージが強かったのも、イタリアという国の特性にあるのだとか。

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「イタリアは、その土地で生まれたものをつかって料理をつくるのが基本です。自分たちの国で生まれたものを他の国に出さないし、フランスなどと違って外へ出すのもあまり上手じゃないんです(笑)」

いわばそのおいしさは「イタリア人だけが知っている」状態。
幸いにも伏見にはENOTECA C.d.Gがある!というわけで

 

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実際にのませてもらう

百聞は一見に如かず!ということで、イタリアワインのおいしさ、たのしさがわかりやすく、かつ同時にオーダーしていたお料理にあいそうなものを選んでもらった。

 

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「北イタリアの
オーストリアにちかい州
ギルラン、というワイナリーの
“ミニエティドロミーティ”
夢、寝ている畑という意味のワインになります。
葡萄は、この土地でしか作られていない品種ですね
くすんだような、霧の中にいるようなイメージ
そういう香りのあるワイン。燻製とも相性がいいです」

↑実際はもっと詳しく解説してもらったのだけど、
これを聞く時点でなんだかワクワクした。

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口をつけた途端に
「ハッ!」っと驚きがあって
それはこれまで飲んできたワインとはまるでちがって
「なにこのめちゃくちゃ美味しい葡萄の飲み物!!!!」という
小学生レベルの感想しか出ずにほんとワインとか語る資格なくてまじですいませんなのだが、とにかく美味しかった。なんじゃこれええええ!ってなった。

 

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セラー

ワインはすべて1杯500円〜700円。常時、30種類ほど揃えてある。
いちばん高いものでも、グラス1杯700円という価格設定。
これは、いくらおいしいワインでも
「値段を気にしてほしくない」という児玉さんの思いによるもの。

 

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地元の食材を、いかに美味しくできるか

ワインに加えて、ENOTECA C.d.Gは料理もめちゃくちゃうまい。
しかも、これ。メニューをみてください。

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いわゆる僕らがぱっと思い浮かべる「イタリア料理」ではない。
「ワインをたのしくのめるもの」を用意している、とのことだが
これも、本場を知るからこそのラインナップなのだ。


「イタリア料理の基本っていうのは
地産地消なんです。
いかにその土地の食材のポテンシャルをひきだして
おいしく食べられるか」

その基本に則って、
食材は、日本や、京都のものをつかって
調理方法はイタリア料理で培ってきた技を活かして
素材のおいしさを引き出していく。

ピクルスには昆布が入ったり
つきだしに冷や汁を出したりもする。

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この日いただいたのは
燻製の盛り合わせ(京の黒枝豆、鰹のタタキ、鯖の西京漬)とローストビーフ。

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ローストビーフは1皿でこの量。ちなみにいつもは肩ロースをつかうそうなのだが
この日は仕入れの都合もあって高級部位「いちぼ」を使用(価格は変わらず!)。お酒のアテというよりも豪華なメインディッシュ的存在感。

ほかにも、牡蠣の季節になると1個ずつ牡蠣の貝殻をそのまま使ってグラタンをつくったりもしてそれがもう大人気だったりと

ENOTECA C.d.Gはお酒はもちろん胃袋もガッシリ満たしてくれる。
あと同じ九州出身としては、宮崎出身の児玉さんがつくるチキン南蛮もめちゃくちゃ気になる。

 

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 伏見に惹かれる理由

ところで、児玉さんはなぜ地元宮崎でもなく、東京でもなく
京都市街地でもなく、伏見に店をひらいたのだろうか。

「まず、帰国してからはまっすぐ京都に来ました。最初、京都(洛内)で働いていたのですが”(宮崎出身なのはいいけど)なんで1回東京挟んだん?”とすごく風当たりが強かったり…というのは余談ですが(笑)
ここのすぐそばにある大手筋商店街って、人通りが京都府内でもベスト3に入るくらい多いんです。しかもその人通りのほとんどが、地元の人。リピート率でいうと、京都でいちばんは大手筋商店街なんじゃないかと」

そして、実際にお店を構えてみると
みんなお店の人同士で協力しあうし、仲がいいことにも気付いたそう。

「この辺の人たちはあそこのお店いいですよ!いいですよ!」って紹介しあうんです。
オープンのときも、まわりのバーや飲食店の方が常連さんに
「あそこにワインバー出来たってよ!」とすごい言ってくれたらしくて
今でも、他のお店からきいてきたんだって来てくれる人もいっぱいいます」

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「特に伏見っていう土地柄が
かつて大阪・近江と京都をむすぶ交易の要衝で
宿場町ですし、港だったっていうので
新しい人も受け入れられやすい土地なのかなと思います。

開放的というか、ウェルカムな感じがすごく有り難いですね」

 

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これらの伏見の土地の魅力は、
僕も伏見で取材を重ねるうちに気付きつつあったところなので
すごく腑に落ちた。

さらに、
伏見・桃山エリアにあたるこの界隈はJR・京阪・阪急と3つの線がクロスしていて
アクセスがいいのも魅力。

 

僕自身、ほんとに取材を重ねているうちにようやく気づいたのだけど
伏見の真の魅力はまだまだ日本人にすらも知れ渡っていない、とおもう。

だから、もしかしたら伏見は
イタリアの各地域にあるおいしい食材やワインと一緒で
伏見のいいところは、「伏見の人だけが知っている」のかも。

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最後に、店名の由来について教えてもらった。

「"ENOTECA"はイタリア語で"ワインの蔵"という意味です。"C.d.G"は"commune di giglio"の略称で、フィレンツェのまちを言い表す別の呼び名なんです。"giglio"は"ユリの花"。イタリアにはそれぞれそういう呼び方があって、フィレンツェの人は"ユリの花のまち"だと自分たちの地域のことを誇らしげに語るんです。その文化が、とてもいいなぁとおもって」

 

イタリアのローカルで体感した「ワインのおいしさ」や
ワインをたのしむ文化・時間そのものが海を越えて
酒のまち・伏見で、まさしく開花したようなお店。

 

こういったバーや酒場がまちにひとつあること、
その土地の本当の魅力に気づいた人がそこに立っていることは
伏見のまちがもっともっと楽しくなっていく兆しの一つだと思う。

 

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〈ENOTECA C.d.G〉

電話:075-644-4628
住所:京都府京都市伏見区平野町67-1
営業時間: 17:30~0:00
定休日:水曜日
WEBサイト:http://comunegiglio.com/
Twitter:http://twitter.com/EnotecaCdG
Facebookページ:http://www.facebook.com/EnotecaC.d.G/

 

 

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