五条モール

懐かしいワクワクが待つショッピングモール〈五条モール〉へ

広い道路を盛んに車が行き来する五条通。そこから少し南に入るとまるで別世界のように、趣深い木造建築がひっそりと軒を連ねています。年季の入ったアパートの前を通りかかると、玄関口でタバコを吸っていたおばあさんが「どこ行くの?五条モール?楽しんで」と声をかけてくれました。

〈五条モール〉は、元お茶屋さんをリノベーションしてつくられた小さなショッピングモール。玄関前で2階を見上げると、看板ねこのオセロさんが格子の間から顔を出していました。

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入居しているのは5店。どこか懐かしさを感じさせる古い建物のなかで、それぞれの店主さんがもつ自由な感性が際立っています。ひとつひとつのお店でお話を伺いました。

 

玄関を入ってすぐの場所にあるお店の一覧

 

【204:レンタルスペース8】

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まずは急な階段をのぼって、1日3000円で借りられるというレンタルスペースへ。雑貨の販売や陶磁器の展示、ワークショップなどが行われているそうです。

店主の萩永さんは、「お店だとひとつの形に固定されてしまうけど、レンタルスペースなら代わる代わる新しい人が来てくれるから面白い。みなさん『とにかく売りたい!』という気持ちで借りるのではなく、経験を買ってくださっている気がします。ここで何かをすることで人とのつながりが生まれるし、私自身も新しい世界につながっていくことができるんです」と語ります。

この日は、普段はOLとして仕事をしているという段松さんが、山をモチーフにした雑貨店を開いていました。「こちらのスペースを紹介してもらったのが3〜4ヶ月前。それをきっかけに雑貨作りもはじめました。雑貨屋さんをしたいという10年越しの思いが形になりました」。

 

段松さん(左)と萩永さん(右)

スペースの一角には郷愁を誘うちゃぶ台コーナーもスペースの一角には郷愁を誘うちゃぶ台コーナーも

期間限定で次々と違う空間に姿を買える〈レンタルスペース8〉。今後はレンタルの期間が終わっても、雑貨などの商品を預かって販売していきたいと考えているそうです。

 

【201:本と紙の店 homehome】

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【レンタルスペース8】に続いてお邪魔したのは、うめのさんと鷹取さんが営む、書籍と紙雑貨のお店。【homehome】と書いて、「ほむほむ」と読みます。

本を担当しているのは、今回お話を聞かせてくださったうめのさん。巡り会った本のなかから、“乙女心”をテーマに選んでいるそうです。文学書、マンガ、絵本など、さまざまなジャンルの本が所狭しと並んでいて、本棚の前を延々とウロウロしたくなります。うめのさんが編集したという、素敵な詩集もありました。

書籍×紙雑貨のhomehomeさんらしいセレクトも書籍×紙雑貨のhomehomeさんらしいセレクトも

 

坂口安吾を枕にお昼寝中のオセロさん

「プレゼントになるような本を置くようにしています。内容はもちろんですけど、装丁が凝っていたり、紙が特殊だったり。もらったときにうれしくなる本ですね」とのこと。

書籍と紙雑貨が同じ棚に

紙雑貨は、鷹取さんがセレクトしています。ドイツから輸入したものが多いとのことですが、よくみるとスーパー内の手芸屋さんなんかでもらうようなリボン柄、花柄の小さな紙袋もありました。それがなぜかダサくなく、新鮮で可愛く見えてくる不思議。ただオシャレなものが並んでいるのではなく、サンドウィッチの箱やクレープの袋など、思いがけない容器の使い方を提案してくれるセレクトがユニークでした。

 

見慣れた紙袋もなぜか輝いて見える

 

クレープの袋でラッピング。こんな使い方、なかなか思いつきませんクレープの袋でラッピング。こんな使い方、なかなか思いつきません

現役乙女も、かつて乙女だった方も、もちろん男性も、ここでなら心くすぐられる本や雑貨にきっと出会えますよ。

 

 

【203:yamanedaisuke】

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2階の一番奥には、木工作家である山根さんのアトリエ兼ショップがあります。お店に入って正面の壁と棚には、動物をモチーフにした作品がずらりと飾られていました。

「木工は木工でも、もともとは家具をつくる職人でした。家具をつくっていると、廃材がたくさん出るんですね。それを使って色々つくっていたら、そっちの方が面白くなっちゃって。今も工房から廃材をもらってきたり、流木を拾ってきたりして作っています」。室内の一角には、そうして集められた木材のケースが山積みになっていました。

 

ショップスペースの奥に作業台があります

何をつくるかは、木の形を見てから決めているとのこと。今にも駆け出しそうなガゼルや、ふと後ろを警戒するキツネ、うっそりと森のなかを歩くようなクマなど、さまざまな木材の組み合わせによって命を与えられた動物たちは躍動感にあふれています。力強い作品に囲まれて、髪と服が柔らかく風をはらんでいるような女性の像もありました。

 

遊び心のある作品も遊び心のある作品も

 

自然の姿を切り取ったようなキツネ自然の姿を切り取ったようなキツネ

木工作品のほか、暗いところで光るという小さなブローチや、オリジナルイラストのポストカードも販売中。独特の味わいとぬくもりのある山根さんの世界に、ぜひ触れてみてください。

 

【101:えでん】

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2階を一巡りしたので、1階にある喫茶・酒場の【えでん】にお邪魔します。

店内は昼間でも落ち着いた明るさで、BGMは長唄や都々逸。テキパキと仕事をしながら質問に答えてくださるのは、割烹着姿が小粋なさっこさん。なんとなく秘密めいた空間にしばらく座っていると、別の時代・別の世界にいるような気分になってきます。

 

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注文したのは、上下に重なった赤と白のコントラストが鮮やかな「ヨーグルトトマト」。どんな味なんだろうとドキドキしながら口をつけましたが、ほんのり甘いヨーグルトとまったりしたトマトジュースが予想以上に好相性でした。あっさりしていて、スッと飲める優しい味です。

アンティークなグラスが銀色の金属製コースターに乗っていて、「今は特別な時間」という実感を与えてくれました。

 

少しずつ混じりゆく赤と白少しずつ混じりゆく赤と白

「ずっと前なんですけど、古道具屋をしていたことがあるんです。そのときのものを色々と使っています」とのこと。

この日は残念ながら売り切れでしたが、おばんざいも気になります。農家を営むお友達から、無農薬の野菜を分けてもらっているのだそうです。

 

壁にかけられた黒板には、おばんざいのメニューが壁にかけられた黒板には、おばんざいのメニューが

カウンターの奥にはウィスキーの瓶がずらりと並び、バーのような小料理屋のような趣きもある【えでん】。次回は夜に遊びにきてみたいと思います。

 

 

【102:emiko ichijo】

最後に、オリジナルのニット作品を制作する一條さんのアトリエ兼ショップに伺いました。

まず目をひくのは、何色もの正方形を組み合わせたストール。カラフルながらも優しい色づかいと、カシミヤならではの柔らかな肌触りがとても素敵です。

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「テーマを決めてからつくっているわけではないし、頼まれてつくることも多いので、自分のことを“作家”だとは思っていないんです」という一條さん。大手のアパレルメーカーでは処分してしまう半端な長さの糸を買い取って、素材にすることもあります。

「糸を見ながら、『こんなのをつくろうかな』と考えを膨らませていきます。自分ひとりでつくっているから、短めの糸もうまく使えるんだと思います」。

制作は、手編みには向かない細い糸も使えて早くできあがるメリットもある機械編みが中心とのことですが、ブローチやピアスのような小さいものは手編みでつくられていました。

 

 

機械編みを実演していただきました機械編みを実演していただきました

 

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私が気になったのは、花の蕾のようにも、キノコのようにも、はたまた珊瑚のようにも見えるブローチ。白い箱に収められてきっちりと並んでいるのが、不思議な標本のように魅力的で、ついひとつ購入してしました。一点ものならではの個性はありつつ、色々な服に合わせられそうです。

 

手編みでつくられたボタンやピアス

標本のようなブローチ標本のようなブローチ

5つのお店を巡ったところで、来春オープン予定だという【五条モール別館】にも案内していただきました。現在の建物からは、徒歩わずか60歩。今度はどんな面白いお店がやってくるのか、今から楽しみです。

 

 

〈五条モール〉

住所:京都府京都市下京区早尾町313-3(地図
営業日:土・日曜日
※営業時間・定休日は店舗によって異なるため、WEBサイトをご確認ください。
WEBサイト:http://5jm.jp/

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