つくるビル

 

クリエイターと会話しながらお買い物ができる〈つくるビル〉

― 撮影 / 馬場健太  文 / 牟田悠

 

五条通に面した、築50年のビル。以前は風呂敷問屋さんの建物だったそうですが、今ではものづくりをする人々が集まるユニークな拠点になっています。

1階部分には「toiro」という名前が付けられています。コンセプトは“十人十色”。異なる個性をもった作家さんが、アクセサリーや風呂敷などのお店を構えています。その場で制作している作家さんもいました。クリエイターと直接会話しながらするお買い物には、特別な楽しさがあります。

 

 

toiroB:Silver Smith U29toiroB:Silver Smith U29

 

toiroC:Roi du chanvre 〜un magasin〜toiroC:Roi du chanvre 〜un magasin〜

 

toiroD:hellchocolatetoiroD:hellchocolate

 

 

toiroF:Yu-soku KYOTOtoiroF:Yu-soku KYOTO

可愛らしい通路の壁画にもご注目を。イラストレーターの大庫真理さんが手がけたのだそうです。

 

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もともとは10店舗あったtoiroですが、現在は7店舗。一部はこの秋にイベントスペースとして生まれ変わり、ワークショップや手作り市などが行われるようになりました。ふだんは面白いフライヤーやジンがたくさん並んでいます。

 

 

イベントスペースイベントスペース

イベントスペースとは別にレンタルギャラリーもあり、この日は京都市立芸術大学の院生が展示をしていました。

 

 

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〈つくるビル〉では場所を提供するだけでなく、陶磁器窯など設備の面でもものづくりをバックアップしています。そのひとつが、102号室の「つくるビルラボ」。3Dプリンタやレーザーカッター、シルクスクリーンを利用できます。まだ準備段階とのことですが、講習を受ければビルの入居者以外も使えるようになる予定とのこと。

 

 

陶磁器釜のみ、4Fにあります陶磁器釜のみ、4Fにあります

2階〜4階にもショップはありますが、どちらかといえばアトリエや事務所として使っている入居者さんが多いそうです。ちょっと意外なところでは、プライベートトレーニングジムやプロ向けのネイルグッズショップがありました。

403号室のみ、定員4名のシェアアトリエになっています。若手アーティストのアトリエとのことで、室外に展示してあった小さなドローイングに心惹かれました。

 

 

シェアアトリエの窓枠に飾られていた、林葵衣さんの作品シェアアトリエの外に飾られていた、林葵衣さんの作品

ビル全体を見て回ったところで、いくつかのお店でお話を伺うことにしました。

 

 

【203号室:かわせみ工房】

ショップスペースの奥がアトリエになっていますショップスペースの奥がアトリエになっています

最初にお邪魔したのは、革製品のデザイン・制作を行う橋田さんのアトリエ兼ショップ。店頭にはバッグやお財布のほかに、サンダルやケーブルをまとめる小さなホルダーなども並んでいました。

女性の手でもしっかり握りしめられるサイズの小銭入れは、開くとフェルトが使われています。

 

 

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「革だけにこだわるのではなく、俯瞰でこの素材を捉えるようにしています。革に軸足を置きつつも、他の素材との組み合わせも考えたい」。

 

 

橋田健司さん橋田健司さん

こちらでは、販売のほかワークショップも行われています。だいたい4時間くらいかけて、ブックカバーやメモパッドを仕上げるとのこと。慣れない人でも綺麗に仕上がる縫い方を指示されているそうです。見本の作品は購入したいくらい素敵だったので、初心者でもつくれると聞いて驚きました。

 

 

ワークショップでつくるブックカバーの見本ワークショップでつくるブックカバーの見本

これから結婚する方に向けたプライベートレッスンもあり、こちらではキーケースかお財布をつくります。

「最近はサプライズでプレゼントしたいという方が増えてきました。つくっているときの空気感まで一緒に贈れるように、完成した作品は密封できるラッピングに収めています」。

 

 

新郎・新婦向けのプライベートレッスンでつくるお財布。初心者だと、完成までに8時間はかかるのだそう新郎・新婦向けのプライベートレッスンでつくるお財布。初心者だと、完成までに8時間はかかるのだそう

ゆくゆくは、生徒自身が型紙からデザインできる教室も開きたいという橋田さん。革細工がお好きな方は、ぜひワークショップをチェックしてみてください。

 

 

【302号室:ブレスガーデン】

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お店に足を踏み入れた途端、ふわりと甘い香りに包まれました。室内は花でいっぱいですが、生花ではありません。【ブレスガーデン】ではフラワーコーディネーターの南部さんが、プリザーブドフラワー、アートフラワー、ドライフラワーを組み合わせた花雑貨を制作しています。

 

 

南部紀子さん南部紀子さん

アクセサリーやリースなどが販売されていますが、メインはショップよりも教室とのこと。部屋の奥にはテーブルがあって、その周りをぐるりと囲むように、小瓶に収められた花や木の実などの素材が並んでいました。

 

 

060-IMG_4569_1好きな素材を選ぶだけでも楽しそう

「もともとは庭師の主人と一緒に花屋をやっていたんですが、子どもが生まれてから難しくなってしまったんです。それで、子どもが寝てからちょこちょこプリザーブドフラワーの小物をつくるようになりました」という南部さん。ネットで販売しているうちに、教えてほしいと声をかけられるようになったそうです。

「プリザーブドフラワーだけだと色あせるし高額なので、木の実やアートフラワーも組み合わせるようにしたんです。その組み合わせを考えるのが面白くなってしまって」。

 

 

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複数の素材が使われているせいか、作品の色合いには深みがあって、生花とはまた違った美しさがありました。ひとつ飾るだけで、部屋の雰囲気が一気に華やぎそうです。

 

 

 

【202号室:マルニカフェ】

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最後に伺ったのは、〈つくるビル〉内にある唯一のカフェ。店長の塩津さんによると、202号室なので“マルニ”なのだそうです。

こちらの名物メニューはたいやき。注文すると、キッチンの奥にある大きな焼き型で焼いてもらえます。

 

 

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大好きな梅シロップのスカッシュがオススメだったので、焼き上がるまでそちらを飲みながら待つことにしました。氷の上には、店内で栽培されているローズマリーが一枝。濃密な梅の甘みと酸味に、ほのかなハーブの香りが良く合います。

 

 

078-IMG_4632_1梅スカッシュには、自家製梅シロップが使われています

ローズマリーのほかにも店内には観葉植物が多く、大きな窓から差し込む光をいっぱいに浴びていました。植物にも人にも心地よい空間だなあ…。すっかりリラックスモードに入っていると、こうばしい香りが漂ってきました。

 

 

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運ばれてきたたい焼きは、プレーン、きなこ、抹茶の三種類。あんではなく、すべて生地に練り込まれています。

「これは手でいってほしいですね」という塩津さんの言葉に従い、両手で持ってがぶりといただきました。ふんわり柔らかな生地と、あたたかいあんこの甘さ。これぞ幸せの味。添えられているバターと生クリームをつけると、これまたリッチな味わいがたまりません。

 

 

鯛の周りに大きくあふれている部分は、食感が違って楽しい鯛の周りに大きくあふれている部分は、食感が違って楽しい

カフェメニューのほか、日替わり定食やカレー、ハンバーグなどの食事メニューも充実しています。売り切れていなければ、夜でも注文できるとのこと。次回はそちらも食べてみたいです。

 

 

 

〈つくるビル〉

住所:京都市下京区五条通新町西入西錺屋町25番地(地図
WEBサイト:http://www.tukuru.me/
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/TukuruBldg/
※営業時間・定休日は店舗によって異なるため、WEBサイトもしくはFacebookページをご確認ください。

 

 

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