京都伝統産業ふれあい館

ー文・写真 馬場健太

1200年の歴史を持つ京都の伝統工芸。全74品目を一度に見ることができる〈京都伝統産業ふれあい館〉

  京都の路地を歩いていると、ふと職人さんの作業場が目に入ることがあります。伝統的な、昔ながらの手法でものをつくる職人さんがいまも街中に息づいている。その事実に思いを馳せるだけで、なんだか嬉しい気持ちになります。 しかし、伝統的なものづくり、伝統工芸のことをもっと知りたい!と思ったときにはどうすればよいでしょうか。突然、職人さんのもとを訪れるわけにもいかず、「生の知識」を得ることはなかなか難しいもの。 そんなときに知っておいていただきたいのが、岡崎の「みやこメッセ」地下にある〈京都伝統産業ふれあい館〉です。   19-IMG_2879 2_1 17-IMG_2858 2_1 〈京都伝統産業ふれあい館〉には京都の伝統工芸品、全74品目が一同に集まっており、実物を見たり、製作過程についても学ぶことができます。各ブースの解説には英語もついていて、製作過程の映像が流れているだけでなく、職人さんの実演もあったりと、予備知識ナシでも十分に楽しむことができます。   008-IMG_2642 2_1 世界最大の旅行口コミサイトTripAdvisorでも高い評価を得る〈京都伝統産業ふれあい館〉。 より深く、この施設を楽しむことができるように 館内をみてまわるときに注目すべきポイントを館長の八田誠治(はった・せいじ)さんに教えていただきました!   題して: 伝統産業ふれあい館が入場無料ながら「ただの資料館」ではない4つの理由!   12-IMG_2829 2_1 〈教えてくれた方〉 八田誠治(はった・せいじ)さん 京都伝統産業ふれあい館 館長 (専務理事)。5年前より、伝統産業ふれあい館に勤務。それまでは「産業技術研究所」にて35年間、京都の伝統と先端技術、2つのセクションを行ったり来たり。京都の伝統産業に携わり始めてこの道40年。     021-IMG_2666 2_1

1.京都の伝統工芸を知ることは、 日本国内すべての伝統工芸のルーツを知ること

八田さん:「京都の伝統工芸のはじまりは約1200年前。ここにある全74品目はすべて、平安時代からの歴史があります。 日本各地の伝統産業は、いちど平安京で培われた技術がその後の時代を経て全国に散らばり、それぞれの土地が産地となり発展を遂げていったものです。 つまり、日本各地のすべての伝統工芸のルーツはここ、京都の全74品目にあるといえます」   053-IMG_2727 2_1 はじめて〈京都伝統産業ふれあい館〉を訪れたときの率直な感想は「京都の伝統工芸品って、こんなにたくさんあるのか!」でした。 ありとあらゆる「伝統工芸品」が展示されているため、中には「これって京都よりも別の地域のほうが有名なのでは?」 と思うものもありました。 しかしそれは、そもそもすべての伝統工芸は 京都にルーツがあったからこそ、だったのです。 「江戸指物だとかも全国的に有名ですが、あれは江戸の人々が、"もっと渋みのある色で装飾を抑えよう"などとアレンジを加えたものなんですね」 「他にも刃物といえば堺や新潟が有名ですが、その起源は平安京の宮廷で行われた刃物づくりにあります。紙漉きの技術も同様ですね」 京都にまつわる施設ながらも、ここに来れば日本全国の伝統工芸品の原型をみることができる。 これが〈京都伝統産業ふれあい館〉の最も重要なポイントなのです!   027-IMG_2680 2_1

2.生で職人の実演・舞妓さんの舞を見ることができる。

実際に生で、職人の方々がどのようにものづくりを行っているのかをまじまじと見る機会はなかなかありません。 〈伝統産業ふれあい館〉ではその日ごとに職人さん方が実演などを行っております。   026-IMG_2677 2_1 028-IMG_2681 2_1 031-IMG_2685 2_1 この日、実演をなされていたのは「京繍」の職人さん。最も多くて1000種類の糸を使い、絵画のように模様を縫い付けていきます。 036-IMG_2692 2_1 いつも持ち歩くのはだいたい100色とのこと。   039-IMG_2695 2_1 近くで見ればみるほど、刺繍とは思えない色合いの繊細さと、糸の感触に圧倒されます。   035-IMG_2690 2_1 1日で縫い上げる大きさはこのくらいが限度なのだそうです。 ...といった具合に質問には何でも親切に応えてくださいます。   017-IMG_2658 2_1 さらに、毎月第3日曜日には無料(!)で「歩く伝統工芸」といわれる舞妓さんの舞をみることができます。ここでは舞もありますが、身につけているものや、季節に応じての衣装についての解説がメインとのことです。 通常、お座敷などで舞妓さんの舞を見ようとすれば、数万円はかかってしまいますので、これは観光の方などに有り難すぎる取り組みです。   087-IMG_2790 2_1

3.展示品の一部は、実際に買うことができる

「ただ眺めて終わり」の資料館との大きな違いがもうひとつ。展示品の一部には値札がついており、ここで気に入った伝統工芸品を購入することもできます。このスタイルは、最近になって実現したものです。   081-IMG_2779 2_1 082-IMG_2781 2_1 083-IMG_2782 2_1 084-IMG_2784 2_1 それぞれの工芸品をつくり上げる工程を記録した映像も、各ブースにて上映中。それぞれ手のかかった過程をみると、値札の価格が以前よりもお安く思えてくるので不思議です。   13-IMG_2838 2_1 展示ゾーンのみならず、より手軽におみやげを探したり、買い物を楽しみたい方にはショップもあります。スタッフの方に、海外の方がよく買っていくお土産BEST3を挙げていただきました!   07-IMG_2823 2_1 1位 ミニサイズの屏風   09-IMG_2826 2_1 10-IMG_2827 2_1 2位 風呂敷   06-IMG_2822 2_1 3位 京象嵌のアクセサリー やはり「持って帰りやすい」というのはお土産選びの際に大事なポイントですね。他にも金網や、竹細工など日常の暮らしにすぐに使えそうなものがありましたので、「自分へのお土産」にしました。         008-IMG_2642 2_1

4.京都の伝統産業について、なんでも相談可能

八田さんが軸となり、〈伝統産業ふれあい館〉は日々、さまざまなアップデートが行われています。   048-IMG_2720 2_1 044-IMG_2714 2_1 琳派400周年にちなんで、RIMPA400の製品が並んでいたり、 ディスプレイに度々改良が加えられるのはもちろんのこと、 伝統産業を活かした新たな動きもいくつか進行しています。 そんな〈伝統産業ふれあい館〉は、京都の伝統工芸についての相談は、どのようなものでもウェルカムなのだそうです。   京都伝統産業に携わる、あらゆる職人さんとのつながりを活かし、 職人さんに会いたい!だとか、こういう人いませんか?という要望に対しては 職人さん方の意向を最大限尊重しつつ紹介を行ったり、これまでには「京都でお琴を習いたいんですが...」といった漠然としたものまで。 海外クリエイターからの、京職人とのコラボレーションの相談もしばしばあるそうです。   073-IMG_2763 2_1 075-IMG_2765 2_1 052-IMG_2726 2_1 ふだんの暮らしも、晴れやかなお祭りや舞台も あらゆる場面を支え、形づくってきた「伝統の技」。 ここを知っておくと、京都のみならず日本における伝統の技の「向こう側」を知り、より思いを馳せることができるようになります。 伝統産業の分野で何かしたい、と思ったときに、具体的な動きにもつながる場所。ぜひとも、前のめりな姿勢で訪れてみてください。   14-IMG_2847 2_1 〈おまけ〉 取材の日に、〈京都伝統産業ふれあい館〉をエンジョイしているイギリスからの二人組に出会いました。感想をきいてみると 「もう最高!とても良かったわ。京都のことをより深く知ることができたし、そもそも(他の博物館が軒並み閉まっている)月曜日にも空いていたことが、すごく嬉しかったの(笑)」と大喜びしておりました。     16-IMG_2854 2_1 〈京都伝統産業ふれあい館〉 住所:京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9−1(地図) 電話:075-762-2670 開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで) 休館日:夏季休館日(8/17~18)・年末年始(12月29日~1月3日) 入場料:無料 ホームページ:http://www.miyakomesse.jp/fureaika/index_eng.php

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