志る幸

幕末志士の足跡に、汁の店

京都のろうじにはひっそりと歴史が息づいている。このろうじに勤皇の志士が潜み、あのろうじを龍馬が駆け抜けたかもしれない。私達の第六感を豊かに刺激してくれる。〈志る幸〉もそんなろうじの一角に店を構えている。まさにここも勤皇派の志士、古高俊太郎の邸跡、歴史のひとこまを確かに見てきた場所だ。 S__15450163 〈志る幸〉と言う名前を聞くと、甘味処かと間違えるが、れっきとした料理屋で、「志る幸」という名前は、質素を旨とした時代に客は各自に飯を持ち寄り、会主は汁だけを用意してもてなした「汁講(しるこう)」からきているという。 待ち合わせより早く着いてしまい、中に入ろうかどうか迷ったが、折からの台風に、今にも泣き出しそうな空模様。中で待たせてもらうことにした。奥の待ち合いで待つように、と通された場所はちょうど板場のとなり。板前さんの高下駄の音が心地良い。 待ち人も現れ、さあ店内へ。 さほど広くない店内はカウンターが鉤の手になっていて、カウンターに囲われた中は畳敷き。さながら時代劇の商家の店先の様。かと思うと、壁際の席は歌舞伎の桟敷席のように欄干があって、店内を向いている。 そうか、桟敷から店の動きをまるで芝居を見るように楽しむのかと感心していると、店内は八坂神社の能舞台をモチーフにしたものなのだと教えてくれた。   S__15450155 だとすれば、お弁当は演目の幕間に食べるお弁当になる。場所、雰囲気、心持ち、全てが一体となった中で楽しむお弁当なのだ。なんだかワクワクしてきた。お弁当を待つ間もいろんな話で盛り上がりそうである。   S__15450159 肝心のお弁当だが、甘口の白味噌仕立てがクセになる。味を締めるためのお汁物ではなく、これだけで味わいたい。さすが、店の名に恥じない。舞台も終わり店を後にする。振り返ると、暖簾に「汁」の潔い一文字が見送ってくれた。 〈志る幸〉  住所:京都府京都市下京区河原町四条上ル一筋目東入ル (地図 電話:075-221-3250 営業時間:11:30〜15:00(入店は14:00まで) 17:00〜21:00(入店は20:00まで) 定休日:水曜、不定休
http://shirukou-kyoto.jp

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