Textile of Nishijin 西陣織「太田商店」「茂原織物」

キャラクターグッズからお寺さんの袈裟まで


文:林宏樹 写真:本間腕


高級織物の代名詞にもなっている西陣織。それと聞いて誰もがまず帯を連想すると思うが、一風変わった西陣織商品を作っている会社があるというので訪ねてみた。

教えられた住所を訪ねると、車も通れないほどの路地に面した古い町家。小さな看板が上がっていなければ織元とは気づかない。しかし、中に入ると棚には染め上がった生糸や生地の見本が所狭しと並んでいた。

出迎えてくださったのは、西陣織のネクタイを扱って50年以上という太田誠さんと、息子の太田幸典さん。平成7年に誠さんが独立して立ち上げた太田商店を、親子で切り盛りしている。

太田商店では「太田ネクタイ工房」「INIGO JONES」などのブランドでオリジナルのネクタイを製造販売しているが、ストライプなどオーソドックスな柄に混じって鳥取県米子市の白ネギをモチーフにしたキャラクター「ネギマン」のネクタイを発見!

「京都府広報監の『まゆまろ』と漫画家集団『CLAMP』のコラボ商品としてネクタイやグッズを作らせてもらっていたこともあり、キャラクターものの依頼も来るようになりました」と太田幸典さん。2015年には、ファミリーマートのキャンペーンで、オンラインゲーム『刀剣乱舞』の関連グッズとしてがま口やポーチ、名刺入れを制作したところ、またたく間に1000数百個が完売したとか。

SNS上でも話題になり、商品を手にしたファンからは「使うのがもったいない」「さすが西陣織、きれい!」という書き込みが多数あり、それを見た幸典さんは「若い人にも西陣織の魅力が伝わった」と感激のあまりパソコン画面が滲んで見えたとか。キャラクターグッズと言えども、ホンモノの持つ良さはちゃんと伝わるものなのだ。

太田商店の店内を見ても培ってきた西陣織の伝統と技術の高さは伝わってくる。染屋さんで染めてもらった天然シルクの光沢はなんとも表現し難く魅力的だし、いままで染めた糸をファイルした見本帖には、300色以上の色糸が次に使われる機会を待っている。織られる柄や、最終的な商品が何であろうと、さすが西陣織!と思わせるのが、西陣織の引力かも知れない。

そんな西陣織の新たな可能性を感じさせてもらった太田商店の太田幸典さんが、「なかなか見られない織元を見に行きましょう」と案内してくださったのが、神社仏閣や冠婚葬祭関係の織物を扱う茂原織物。訪れたときは、半年以上も先に納品予定の来年用のお守り袋の見本を作成中だった。

「お守り袋には、フワッとした風合いの緞子地(どんすじ)という織り方の生地を使います」と話すのは、茂原織物2代目の茂原勝彦さん。使える色数は8色までだが、いかに色数を多く見せるかは腕の見せどころという。

次に見せてもらったのは、茂原織物がメインに扱う金糸や銀糸を織り込んだ金襴の西陣織。用途は、お坊さんの袈裟などの衣装から、お寺の堂内に吊るす水引、棺桶に掛ける棺掛けまで幅広い。

図案や配色も勝彦さんが手掛けたという「花丸に鳳凰」の金襴は、20年以上に渡るロングセラー。少し配色を変えただけでも印象が変わってしまうため、ほかに真似できる織元が現れないのも永年売れ続けている理由のひとつだとか。その技術を買われて、400年前に織られた国宝の復元依頼も来るそうだ。

最後に織り上がった反物を検反し、糸の切れた部分を掛け継ぎする作業を見せてもらったが、ルーペを覗きながらの細かい作業は見ているこちらまで息を飲んでしまった。

キャラクターグッズから、お守り、水引、袈裟まで、ちょっと意外な西陣織を覗き見たが、それらを手がける人たちの西陣織に対する矜持はとても似通っているように感じた。これがホンモノの持つ底力か。まだまだ京都には知らない世界が潜んでいる。

 

太田商店〉住所:京都市上京区黒門通元誓願寺上ル寺今町509 (地図)電話:075-417-2718定休日:土曜・日曜・祝日 

〈茂原織物〉住所:京都市上京区浄福寺通一条上る福本町130 (地図)電話:非公表 *一般の来訪は受け付けておられません

 

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★この記事は、京都を「A」から「Z」で考えるWEBマガジン『BEACON MAGAZINE VOL.2 ~CRAFTS of KYOTO』に掲載されています。ぜひこちらから他の記事もご覧ください。
『BEACON MAGAZINE VOL.3 ~AQUA in KYOTO』
→→『BEACON MAGAZINE VOL.1 ~宇治・伏見のA to Z』

 

 

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