BAMBOO 「竹平商店」

商機広がる「クール・バンブー」

文:中村慶子、写真:瀧本加奈子

木でも草でもない、イネ科の植物「竹」。竹林を見ると日本らしさを感じたり、昔懐かしい気持ちになったり…。竹の中からかぐや姫が出てくるシーンさえ思い浮かぶのは、日本人のDNAに竹が深く刻み込まれているからではないか。実際に、軽くてしなやかな竹は縄文時代からカゴに用いられ、千利休が素朴さの象徴として茶室に使用して以降は侘び寂びを表現する素材として発展。「銘木」ならぬ「銘竹」を扱う問屋、1915年の創業から1世紀を数える「竹平商店」を訪ねた。

五条大宮にある「竹平商店」の倉庫には、全国から選りすぐった竹が隙間なくズラリ。身長の2倍以上もあるまっすぐ伸びた竹たちを見上げていると、背筋が伸びて清々しい気持ちになる。「色や形、寸法が多様にある中から、建築や工芸など用途に応じた商材を見極めるのが銘竹屋の仕事です」と4代目の利田淳司さん。長い竹をひょいと肩にかついで身軽に移動する姿が印象的だ。

青竹を弱火で温め、余分な水分や油分を除いて天日干しすると、独特の光沢を持った竹材になる。一般的な「白竹」をはじめ、枯れ始めた竹にゴマ状の模様が現れた「胡麻竹」、草葺屋根の構造材に使われて200年ほど囲炉裏の煙で燻され続け褐色になった「煤竹」も豊富に在庫を持っている。自然と亀の甲羅のような形状に育つ「亀甲竹」は最も見た目が特徴的。「しばって作ったのか?と質問されることがよくありますね。くねった形をよく見ていると人間の姿のようにも見えるでしょ。『human body』というタイトルがついた明治時代のオブジェもあるんですよ」

建築や工芸の材料だけでなく、竹製品もある。空洞と節がある性質を生かし、曲げたり、割ったりした加工品があちらこちらに。「すだれ」はオーソドックスなものに加えて黒やオレンジなどに色付けしたものもあって目を引く。化粧枠は年代モノが多く非売品もあるが、竹を曲げて松や宝船、人の顔まで表現してしまう職人の高い技術が伝わっくる。組んだ竹の間から光が漏れるランプシェードは現代のアート作品さながら。点灯していただくと光の模様をいつまでも眺めていたい気持ちになる。「直接来店して竹製品を購入されるお客さんもいらっしゃいます。竹材は1本からお売りしていますよ」

建築や内装材料としての竹は、従来であれば土壁の芯になる「竹小舞」のような構造材や、茶室の建材として使用されてきた。ところが最近は、近代的な商業施設やマンションなどの内装に意匠として使うケースが増え、建築デザイナーらから注文が舞い込むようになった。ニューヨークのアパレル店やバンコクのレストランの内装材として注文を受けたほか、「シンガポールのレジデンスのエントランスに並べたい」などの要望で竹材を外国に出荷する量も増えている。「海外との商談や欧米からの見学者が口にする感想は『クール』や『アメイジング』。竹そのものの美しさだけではなく、素材の美しさを生かそうとする日本文化の美意識を感じてくれているのだと思います」。利田さんの名刺にもちゃんと、会社名「takehei inc.」の下に「the cool bamboo」と表記されている。

「竹は古来の材料ですが、銘竹屋を伝統産業とは思っていません。現代に沿った使い方の可能性はまだまだ広がっているので楽しみです」。古くて新しい竹。質素で控えめなのに、そこにあるだけで日本人は落ち着きを感じ、外国人はクールと感じる。最近おしゃれなレストランやアパレルショップでよく見かけるので気になっていた、竹を取り入れたインテリアデザイン。街中で出合う機会がさらに増えそうだと感じた。


竹平商店
住所:京都市下京区大宮通五条上ル403(地図)
電話:075-841-3803
営業時間:8:00-17:00
定休日:土曜・日曜・祝日
※説明・見学を希望する場合は事前に要予約

 

★この記事は、京都を「A」から「Z」で考えるWEBマガジン『BEACON MAGAZINE VOL.2 ~CRAFTS of KYOTO』に掲載されています。ぜひこちらから他の記事もご覧ください。
『BEACON MAGAZINE VOL.3 ~AQUA in KYOTO』
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